FIAを刑事告訴したスージー・ウォルフをハミルトンとラッセルが支持。「僕たちは透明性を必要としている」

2024年3月26日(火)6時30分 AUTOSPORT web

 ルイス・ハミルトンとジョージ・ラッセルは、FIAとその会長であるモハメド・ビン・スライエムに対して法的手続きを開始したと発表したスージー・ウォルフへのサポートを示した。


 昨年末、FIAのコンプライアンス部門は、“あるF1チーム代表”と“あるフォーミュラワン・マネジメント(FOM)のメンバー”、つまりウォルフ夫妻の間で機密情報が交換されたという申し立てのもとに調査を実施した。


 こうした事の起こりを知った各F1チームは、それぞれが「F1チーム代表とFOMスタッフとの間で機密情報が交換されたという申し立てについて」FIAに苦情を申し立てていないことを保証する、同一の内容の声明を発表。これにより、FIAはコンプライアンス調査を開始する決定のきっかけを明かす必要が生じた。


 しかし、FIAは素早く方向転換し、潜在的な利益相反問題に関してF1関係者に対する継続的な調査は行われていないと宣言。これに対し当事者のスージーは、FIAの“根拠のない”コミュニケーションの責任を負わせるべく、3月4日にフランスの裁判所に刑事告訴を行ったことをソーシャルメディアにて明かしている。

トト・ウォルフ(メルセデスF1チーム代表)とスージー・ウォルフ(F1アカデミー マネジングディレクター)


 このスージーの行動に対し、7度の世界チャンピオンであるハミルトンは次のように述べている。


「スージーのことを本当に誇りに思っている。彼女はとても勇敢で、素晴らしい価値を体現している。彼女はそのようなリーダーなんだ」


 ビン・スライエムとFIAがこれまでこの件をどのように扱ってきたかということに注意を向けたハミルトンは、次のように続ける。


「人々が沈黙することが多い世界で彼女が立ち上がることは、とても素晴らしいメッセージを送ることになる。彼女がこの世界に責任を求めたことを尊敬しているんだ」


「なぜなら、このスポーツとFIAの内部には真の説明責任が欠けているし、密室で起きていることがあって透明性がないからだ。説明責任が果たされていないのは明らかだ。そして僕たちはそれを必要としている」


 ハミルトンによれば、このスポーツが対処する場合のやり方に対してファンが受ける印象は、改善される必要があるという。


「ファンはそれを必要としていると思う。それがなければ、どうやってこのスポーツと、ここで毎日起きていることを信用できるだろうか」


「だから彼女が今取っているこの姿勢が、変化を生み出し、ポジティブな影響を与えることを願っている。僕たちは、苦情を申し立てれば解雇されるというメッセージが込められた時代に生きている。それは世界に投影されている恐ろしい物語だ」

F1アカデミーのマネージングディレクターを務めるスージー・ウォルフ


 そしてハミルトンは、「特にこのスポーツにおける包括性について話すときは、ここでの本質的価値に忠実であり続ける必要がある」と締めくくった。


 そして、チームメイトでGPDA(グランプリ・ドライバーズ・アソシエーション)理事のジョージ・ラッセルも、チーム代表の妻であるスージーを支持したが、7度の世界チャンピオンよりも慎重に語っている。


「今のF1の世界では多くのことが起こっている。そして多くの場合、僕たちは説明責任と透明性について、知っているあらゆることを考える必要がある」


 ラッセルは、ウォルフ対FIAのケースに焦点を当て、次のように説明した。


「特にあの件は、もはやF1だけの世界ではなく、より一般的な世界に触れる問題なのだと思う。ルイスが前回のレースで言ったと思うが、今はF1にとって本当に重要な瞬間なんだ。そして明らかになったどの件においても、正しい結果、真実、透明性を見たいんだ」

スージー・ウォルフ(F1アカデミー マネジングディレクター)と話すジョージ・ラッセル(メルセデス)


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