【番記者の視点】横浜FM、ホーランド監督を電撃解任…想定外だったJリーグの戦いに対応できず開幕11戦1勝と低迷
2025年4月18日(金)21時1分 スポーツ報知
解任された横浜FMのスティーブ・ホーランド監督
【横浜FM担当・後藤亮太】横浜FMは18日、スティーブ・ホーランド監督の解任を発表した。
英プレミアリーグ・チェルシーやイングランド代表コーチを経て、今季から就任したが、リーグ戦で1勝5分け5敗で降格圏の18位と低迷。今月末にサウジアラビアで集中開催されるACLE準々決勝以降の戦いを見据えると、ギリギリの決断だったとも言える。
今季から担当となり、取材をしていく中で気がかりだったことがある。4月上旬のこと。ホーランド監督にJリーグのレベルについて質問をすると「レベルに関してはすごく高いと思って来ていたが、また違う部分での驚きを感じている。ハイプレスの中から、現代サッカーはボールを持った時もダイレクトなプレーが増えたなとみているが、自分はそういうサッカーをしてくるチームが日本であると思ってもなかった」と返ってきた。
リーグ2連覇中の神戸を筆頭に、現在のJリーグでは多くがこのスタイルのサッカーを導入していることを考えると、指揮官の“想定外”は今回の結果にも大きく影響しているように思う。この点については、西野努スポーティングダイレクター(SD)も「やっぱりヨーロッパの人たちは日本代表のイメージが強いみたいで。もっとしっかりビルドアップして、中盤をしっかり構成しながらやるチームが多いんじゃないかというJリーグに対する一般的なイメージは持たれていたようだが、思ったよりもダイレクトでシンプルでパワフルなサッカーをするチームが多いなっていうのは、彼の持ってた印象とはちょっと違うところかなと。実際、そういったチームとの対戦に苦労しているのも事実」と話していた。監督経験のない中で就任し、Jリーグの戦いに対応できなかったことが低迷の要因の一つだった。
また開幕前は課題だった守備面の改善から着手し、開幕6戦で4失点と一定の成果を見せたが、守備意識が強まったことで、重心が重くなり、クラブ最大の武器でもある攻撃に迫力を欠き、今度は攻撃に注力したが、失点が増える悪循環にも陥った。さらに連戦中も先発を基本的には固定し、交代策も消極的だったため、主力の疲労蓄積など目に見える部分でも不安定な戦いが続いていたのも事実だ。
11日の時点で西野SDは「チームが成長して良くなっている、方向性が間違ってないと思う限りは支え続けるし、(解任という)大きな決断をする必要はないとは思っています。チームの成長が見えなくなったり、監督の言葉が力を失った時にはもちろんそういったことは、今年だけじゃなくて、もういつでも当たり前の話だと思うんで。チームの成長と監督の言葉の力っていうのが基準にはなっている」と話していたが、今回早期決断に至ったということは基準を下回る現状に陥ってしまったということだろう。
横浜FMは昨年も7月中旬にキューウェル監督を解任しており、2季連続でJ1でシーズンで最初の監督交代となる。様々な要素が重なっての開幕からわずか2か月での解任劇。この決断を浮上へのきっかけにしたい。