275日ぶりの青い芝...健大高崎のプロ注目左腕・佐藤龍月「ブレずに」トミー・ジョン手術から投手復活へ
2025年4月26日(土)19時45分 スポーツニッポン
◇春季高校野球群馬県大会 準々決勝 健大高崎7—1前橋(2025年4月26日 高崎城南)
今春の選抜で4強入りした健大高崎(群馬)が7—1で前橋を下し、関東大会出場が懸かる準決勝進出を果たした。U18高校日本代表候補の強化合宿に参加した左腕・下重賢慎(3年)は5回から救援し、5回を2安打無失点。7三振を奪い「経験を生かして試合をつくれた」と語った。
優勝した昨春選抜で22回無失点だったプロ注目左腕・佐藤龍月(りゅうが=3年)は8回から守備固めで中堅に入った。昨夏に左肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を受け、公式戦での外野守備は昨夏の群馬大会準決勝以来、275日ぶり。青い芝を踏みしめ、2つの打球を無難にさばいた。
「やっぱり外野を守らせていただいて、投手とバッターの間合い、打感を見ることができて凄くうれしかった。(手術明けの左肘は)今は特に不安はなく送球ができるようになりました」
中堅に入った8回、いきなり中前に転がった打球は佐藤龍の少し前でイレギュラー。胸に当てて弾くも二塁への進塁は許さなかった。9回1死からは中飛をキャッチ。守備固めとして役割を果たしたが、眼前で腕を振る左腕・下重の姿を見れば、投手としての血がうずいた。
「いつもピッチャーとして試合に挑戦する自分を築いてきた。やっぱり誰が投げていても“自分が投げたい”という思いはある」
高卒でのプロ入りは変わらぬ夢として胸に秘めている。5月中旬には本格的な投球を再開し、6月中にはショートイニングの実践登板を見込む。ただ、現在の佐藤龍に焦り、気負いはない。
投手としての離脱期間に最速158キロ右腕・石垣元気(3年)、下重ら投手陣は「龍月のために…」と佐藤龍抜きでも甲子園に導けるよう成長を続けてきた。「焦ることなく、自分がやるべきことをやるだけ。そこはブレずにやっていきたい」と言う。
昨秋の新チーム始動以降、公式戦で敗れたのは横浜(神奈川)に喫した2敗のみ。その2戦に「投手・佐藤龍」はいなかった。3度目の正直のためのラストピース。甲子園の「ミスターゼロ」は一歩、一歩、マウンドに向け、踏みしめている。(アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)