「壁をどう乗り越えるか、自分でも楽しみ」強メンタル巨人・戸郷翔征の復活信じている

2025年4月29日(火)16時0分 スポーツ報知

戸郷翔征

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 選手の活躍だけでなく、その裏側を届けたい—。その思いを胸に記者を志した。夢に見たスポーツ新聞に就職し、巨人担当となった。そして、3年前から戸郷翔征投手の番記者となった。2学年下の若きエースの姿に、何度も心を打たれてきた。

 阿部監督から交代を告げられた戸郷の背中に思わず目が潤んだ。4月11日の広島戦(マツダ)で3回1/3を10安打、自己ワーストの10失点で2軍降格が決定。エース・菅野がメジャーに移籍し、チームを自分が引っ張るという強い思いを知っていただけに、この結果は重かった。試合後、報道陣の前にどんな様子で現れるのか少し不安だった。しかし、戸郷は「ここで囲み取材やりましょうか?」と自ら声をかけ、丁寧に質問に応じた。「記者の方々はいつもいい記事を届けてくれるからさ。それに話すこともプロの仕事だから」。どんなにつらいことがあろうとも、感情的になることも目を背けることもない。

 その翌日も声をかけたが、嫌な顔ひとつ見せなかった。「初めての体験ですしね。難しいことも多いね」。ここまで悩むのを見たのは初めてだったが、出てくるのは前向きな言葉たち。「1つのいい挫折を味わったね。新しい自分をつくっていけたら」。常に自分を俯瞰(ふかん)して見られる、メンタルの強さを実感した。

 取材の去り際、ニヤリとして言った。

 「映画でいけば、いい映画ができあがってるんじゃないかな? 誰にでも壁は絶対あるから。その壁をどう乗り越えるか、自分でも楽しみにやります」

 壁を乗り越え、さらにパワーアップした姿が見られることを信じている。戸郷翔征という主人公のハッピーエンドを、私も記事として残したい。(巨人担当・水上 智恵)

 ◆水上 智恵(みずかみ・ちえ) 2021年入社。配属されてから巨人一筋で投手担当。

スポーツ報知

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