朗希 日をまたいでのメジャー初星「凄く思い出に残る」 試合終了は午前1時26分「雨ニモマケズ」

2025年5月5日(月)1時30分 スポーツニッポン

 ◇ナ・リーグ ドジャース10−3ブレーブス(2025年5月4日 アトランタ)

 雨ニモマケズ…つかんだ初白星だ。ドジャースの佐々木朗希投手(23)が3日(日本時間4日)のブレーブス戦で5回6安打3失点にまとめ、7度目の登板で待望のメジャー初勝利を挙げた。悪天候で試合開始時間が3時間6分遅れ、降板時は日付をまたいだ午前0時20分という異例の深夜登板。大谷翔平投手(30)の8号決勝弾に後押しされ、最速165キロの「令和の怪物」が新たな一歩を踏み出した。

 やっと勝てた。会見場に現れたのは午前2時前。佐々木は心の底から安堵(あんど)の表情を浮かべた。クラブハウスでは同僚からビールなどで手荒い祝福。「まずはホッとしているというか良かった。うれしいなという気持ち」。メジャーデビューから約1カ月半。待望の初白星をつかんだ。

 雷雨で開始が3時間6分も遅れ、午後10時21分プレーボールの深夜の一戦。直球の最速は7度目の登板で最も遅い96・7マイル(約155・6キロ)にとどまり、スプリットも精彩を欠いた。先制直後の2回に追いつかれ、7—1の4回にも2失点。「締まらない投球だった」と反省した。日付の変わった5回は、4回に被弾していたアルビーズを95・7マイル(約154キロ)の直球で押し込んで遊飛に打ち取り、初の3者凡退。メジャー最多98球で5回を投げ終え、勝利投手の権利を得た。

 試合終了は午前1時26分。同郷の岩手の詩人・宮沢賢治の「雨ニモマケズ」のように初めて経験した日付をまたいだ登板に耐え、「凄く思い出に残る。こういった形で初勝利ができたことは凄く特別。なかなか忘れることができないんじゃないかな」と頬を緩めた。

 6週連続で土曜日に登板する「中6日」の調整。「初勝利うんぬんの前になかなかチームに貢献できている感じもなかった」と苦しんでも、ブレることはなかった。ほぼ毎日、試合開始4時間前にはグラウンドに出て時に30分以上かけてキャッチボール。メジャーでは珍しい遠投やポール間走を取り入れるなど日本流も踏襲し、同じような調整を貫く山本の姿勢にも勇気をもらった。

 7連勝と地区首位の堅持に貢献。デーブ・ロバーツ監督は「初勝利のチャンスを与えたかった。頼りになる投手になりつつある」と成長を強調し、次回は初めて中5日で9日(日本時間10日)のダイヤモンドバックス戦に先発させることを明かした。

 95年5月2日に野茂英雄がドジャースでメジャーデビューしてから30年。同じ7度目登板での初勝利だった。初勝利から7連勝し、球宴で先発を任されるほど大ブレークした偉大な先輩に続けるか。大いなる前進を遂げ、「全部の要素で足りていない」と謙虚に前を向いた。 (笹田 幸嗣通信員)

【朗希に聞く】

 ——試合開始が3時間6分遅れた。

 「食事を取り、ある程度のことは先に終わらせておいた。急に始まることは聞いていたので、先にルーティンを済ませて、あとはブラブラとゆっくりしていた。明日も試合がある中で凄く大変な試合だったけど、その中で最低限の仕事はできた」

 ——同僚からの祝福は。

 「なんかいろいろなものをかけられて、たくさんの人に“おめでとう”と言ってもらって、凄くうれしかった」

 ——今の直球についてどう思っているか。

 「決して納得できているわけではない。まだまだ普通に良いボールが投げられるなという気持ちの中で、その中でも他の球種を使ったり、いいところへ投げればアウトはしっかり取れる」

≪最遅&年少3位23歳6カ月≫

 〇…佐々木がデビュー7試合目でメジャー初勝利。日本投手の先発勝利では95年野茂英雄(ドジャース)に並んで最も遅い7戦目での初白星となった。また、23歳6カ月での先発勝利は09年田沢純一(レッドソックス)の23歳2カ月、98年マック鈴木(マリナーズ)の23歳3カ月に次ぐ年少3位。NPBを経た投手では18年大谷翔平(エンゼルス)の23歳8カ月を上回る最年少。

 〇…メジャーで白星を挙げた日本投手は佐々木で通算47人目。通算1124勝目となった。

スポーツニッポン

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