【ボートレースコラム】進入からもつれるマスターズ だから穴党はたまらなく楽しい
2025年5月6日(火)4時30分 スポーツニッポン
先月、桐生で開催されたプレミアムG1「第26回マスターズチャンピオン」は森高一真がインからこん身の先マイを決めてマスターズ初Vを飾った。
優勝戦はもとより、全員がSGレーサー(徳増秀樹、坪井康晴、井口佳典、今垣光太郎、松井繁)だった準優勝戦もインをガッチリ取り切って、気迫みなぎる速攻逃げを決めたのは印象的だった。
それにしてもマスターズは一般戦やルーキー戦、女子戦と違って楽しい。何ならSGレースよりも面白い面もある。
一番の要因は個性派がいて、コース取りからいろんな展開が想像できるからだ。
今回でいえば江口晃生、石川真二、松井繁、赤岩善生。出場していなかったが西島義則や今村暢孝や吉川昭男もそうだ。彼らが1号艇以外で乗っているだけでワクワクする。
たとえば今回の5日目準優9R。進入はインの上平真二に対して6号艇の江口が前付けを敢行し、これに2号艇の湯川も付き合ってスロー勢が深めの3対3と予想した。となれば絶好のカドへ持ち出せるのが3号艇の石渡鉄兵。レースはこの一撃と読んだ。
結果は石渡が1着。ただ、進入、レースは予想と全く違った。ピット離れで飛び出した江口が難なく2コース。湯川は3カドに引っ張った。石渡はその捲りをうまく利用して、捲り差しで突き抜けたのだ。内容は違えど江口の存在があったからこそ狙えた舟券だった。
一般戦でもたまに動く選手はいるが、基本は枠なり3対3。インの起こしもほとんど楽で「逃げ」が多くなるのも当たり前。今のボートレースは競馬、競輪と違って“当てやすい”がトレンドというのは分かっている。
ただ、1000円、1万円単位で購入する人は刺激もそれなりにあるだろうが、100円単位で買うファンは本命を当てたところで…と思うところもある。
だからこそ、もっと進入からもつれる番組を多くしてもらいたい(もちろん全レースでなくてもいい)。記者も含めた穴党のささやかな願いだ。(柳川 哲也)