【ボートレースコラム】気合で〝スタイル〟貫く江口晃生は必要不可欠な存在
2025年5月7日(水)4時30分 スポーツニッポン
記者はもうすぐ60歳。何かの間違いでボートレーサー募集の試験に一発合格したのが20歳。体力、精神力ギリギリの1年間を耐え何とか本栖研修所を卒業。プロデビューしたものの、4期トータル勝率が基準に達することなく最速で登録抹消。リポーターなどをやりつつ、現役選手による売り込みと当時の最強レーサー・植木通彦氏と同期を売りにスポニチ入社。流れのままに生きてはきたが、ボートだけは離さなかった。
4月22〜27日に開催された「第26回マスターズチャンピオン」。もうこの辺で後輩たちにバトンタッチ…と、気持ちの整理がついていた時期でのボートレース桐生取材だった。
地元の期待をたった一人で背負い、戦っていたのが江口晃生(60=群馬)。同じ昭和40年生まれでありながら、自分がデビューしたころには既に桐生を代表するエリート若手レーサーとして強烈なオーラを放っていた偉大な先輩です。
パワー差の激しい大会だったが、何とか準優ベスト18に残ると記者に囲まれ「オレもう60歳だよ。そんなに期待されても困るよ」。弱音らしき言葉は完全なポーズ。「気合だよ気合。最後の手段は気合。奥の手は気合」。優出は果たせなかったが、トンガリながらベテラン勢に立ち向かっていく20代の頃の江口と何も変わっていないことが妙にうれしく感じられた。
「オレは“競艇”をやっているんだ」。枠番関係なしで内に潜り込むスタイルを貫く頑固一徹オヤジVSほぼ枠なりからターン技術を競うボートレース。好みは分かれるところだが、江口のような存在がボートレースには必要不可欠と、記者目線で解釈している。
記者は近々この業界から離れることになるが、まだまだ続く新旧対決。しばらくはスタンドから声援を送ることになるだろう。(梁島 幸子)
◇梁島 幸子(やなしま・さちこ)1965年(昭40)8月16日生まれ、栃木県出身の59歳。86年に第59期ボートレーサーとしてデビュー。引退後はスポニチに入社しボートレース担当へ。予想はメンタル面を重視。