田淵幸一氏 巨人戦4戦連発の森下にエール「追い抜いてほしい」
2025年5月21日(水)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神4—0巨人(2025年5月20日 甲子園)
73年に巨人戦5戦連発の球団記録をつくった阪神OBの田淵幸一氏(78)が当時を振り返り、後輩の森下にエールを送った。
宿命のライバル・巨人戦での一発は他のカードとは価値が違う。注目度も段違いだ。ぜひ、きょう21日にも打って私の記録に並び、そして追い抜いてほしい。
森下の最大の魅力は思い切りの良さだ。初球でも、追い込まれてからでもスイングが変わらない。三振を恐れて中途半端にならず、常に豪快に振る。これができそうで非常に難しい。初回は1ボールから2球目、バッティングカウントで直球を振り抜いた。タイプは中距離打者だが、この思い切りの良さが本塁打につながっている。
73年の巨人戦は1回戦から5試合連続アーチ。今でもよく覚えている。3回戦で2人の投手から3本放ち、4回戦では死球を挟んで3本塁打。5回戦での1本まで「7打数連続本塁打」を記録した。脳裏にあった思いは「ONの前で、俺がホームランで魅せてやる」。やはり、魅せる野球をしなければいけない。本塁打こそ野球の最大の魅力。だから私の座右の銘は「魅せて克(か)つ」だ。
当時、巨人戦はテレビで全国中継があり、お客さんも入る。打てば目立つし、もちろん給料も上がる。阪神の選手は誰もが熱い思いを胸に戦った。そんな「熱」は今も変わっていないはずだ。 (スポニチ本紙評論家)
▽73年田淵の巨人戦5試合連発VTR 4月24日、後楽園でシーズン8試合目にして6回に新浦寿夫から1号。25日は4回に高橋一三からソロを放ち、完封負けを逃れた。26日は第3打席から自身初の3打席連発で通算100号に到達。場所を本拠地・甲子園に移した5月9日は、高橋善正から第2打席の死球を挟んで3本塁打。4—11の大敗の中、1人でチームの全打点を叩き出した。10日は初回2死一塁で高橋一三から決勝の先制2ラン。巨人戦7打数連続本塁打まで伸ばした。