延長10回アツアツ零封!阪神・湯浅が997日ぶり勝った 悪送球でピンチ招くも「いい結果になった」
2025年5月24日(土)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神3—0中日(2025年5月23日 バンテリンD)
勝利の女神が、阪神・湯浅にほほえんだ。国指定の難病「胸椎黄色じん帯骨化症」から復帰後初勝利。実に22年8月30日広島戦以来997日ぶりの喜びだった。
「任された場面でやるべきことをやるだけ。いい結果になった」
0—0の10回から3番手登板。2死から田中の高く跳ねた打球を処理したものの一塁へ悪送球(記録は内野安打と失策)し、2死二塁を招いた。上林を申告敬遠で歩かせ一、二塁。一打サヨナラのピンチを招きながらも、最後は加藤匠を見逃し三振に仕留め、1回無失点と踏ん張った。
以前は150キロ超の直球とフォーク主体に圧倒するスタイルだったが、特に、この日は違った。板山を空振り三振に斬ったのはスライダー。続く岡林はフォークで中飛に仕留め、加藤匠への決め球はスライダーだった。全18球中、実に14球が変化球。「投げられるようになってから、一度、自分の中でリセットというか。変化球も全部、見直して、いい方向に向かっている」。新たな姿で、丁寧にアウトを積み重ねた。
難病を患った右腕にとって、手術後が本当の地獄だった。「一日一日、天と地を行き来してるみたいで…」。たとえば「こんなに感覚がいいのは、いつぶりだろう」と喜んだ次の日に、症状が最も大きく出る右足に力が入らなくなることもあった。それでも、湯浅は負けなかった。
「同じ病気をした福さん(中日)、三嶋さん(DeNA)もまだ症状が出ることがあると聞いた。それならもう、これとうまく付き合うしかないなと」
覚悟を決めた男は強い。これで10試合連続無失点。必死に「0」を並べた先に、白星が待っていた。(松本 航亮)