延長V撃、阪神・近本が抱える好調の「違和感」 「今までとボールの見え方が違う」 首位陥落危機救った

2025年5月24日(土)5時15分 スポーツニッポン

 ◇セ・リーグ 阪神3—0中日(2025年5月23日 バンテリンD)

 猛虎の背番号5が、敗れると首位陥落だったチームを救った。阪神は23日の中日戦(バンテリンドーム)で延長11回の激闘を制し、連敗を2で止めた。1番・近本光司外野手(30)が0—0の延長11回1死二塁から中前決勝打を放ち、今季3度目の勝利打点をマーク。前夜、巨人に苦杯をなめさせられたのと同じ11回に、頼もしきリードオフマンが均衡を破った。今季16度目のマルチ安打を記録し、安打数でリーグ単独トップに君臨。節目の通算1000安打まであと11に迫った。

 欲しくて、欲しくてたまらなかった得点を叩き出したのは、近本だった。延長11回1死二塁。藤嶋の高めに浮いたスプリットを中前に運んだ。代走・植田を二塁から本塁に迎え入れ、均衡を破った。無得点の沈黙を破った効果は抜群。後続の中野、森下にも安打が出て、この回だけで3得点。チームの連敗を2で止め、開幕から続いたバンテリンドームでの連敗も3で止めた。敵地の左翼、三塁側に陣取った虎党から、六甲おろしが響いた。

 「チャンスが少なかったので、ワンチャンスをものにできて良かった。最後は来た球にうまく対応ができた」

 今季3度目の決勝打を打つ1球前、低めのボール球のスプリットを、微動だにせず見送った。軌道が見えていたからこそ、2球続けて来た同じ球種を捉えることができた。

 7年目シーズンは、選球眼に新しい感覚が生まれている。

 「今までとボールの見え方が違うんですよね。これまでは、自分にはストライクゾーンが筒状に見えていて、そこからはみ出たらボールと認識して、振る、振らないを判断していた。でも今年は、違和感を感じるんです。違和感の原因はタイミングで、それがズレるとバットが止まっちゃうんですよ」

 もともとは、打てると思ったら、どんどん振る積極派だったが、今は違う。「昔に比べたら選球眼はすごく良くなっています。あとは考え方もある。だって、アマ時代は打たないと面白くないじゃないですか」。体が勝手に反応して、打つ、打たないを判断してくれるからこそ安打も積み重なる。初回にも中前打を放ち、今季56安打でリーグ単独トップに浮上。通算1000安打まで、あと11本に迫った。

 前日22日までの巨人戦は4時間10分、4時間18分と4時間超のゲームを2日連続で落とした。この日も3時間58分に及ぶ激戦となったが、ようやく接戦をものにして連敗を2で止め、「しんどい試合が続いているけど、勝つのと負けるのとでは全然違いますから」と充実感を漂わせた。藤川監督も「ゲーム展開は昨日、一昨日と近いものがある。その中で総力戦で耐えた。この1勝は非常に大きい」と声を弾ませた。首位をキープ。チームが勢いづくには、十分な勝利だ。(倉世古 洋平)

 ≪3日連続の長時間ゲーム≫阪神はこの日、試合時間が3時間58分。仮に21日の巨人戦4時間10分、22日の4時間18分に続き、3日連続の4時間超えなら、阪神では2リーグ制以降初の出来事だった。なお過去には06年6月と17年9月に試合のない日を挟んだ3試合連続4時間超えがある。

スポーツニッポン

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