【世界卓球】「悔しい。でもやりたいことは出し切れた」伊藤美誠 世界ランク1位の中国選手に敗れ銅メダル
2025年5月25日(日)6時30分 スポーツ報知
伊藤美誠
◆卓球 ◇世界選手権個人戦 第8日(24日、カタール・ドーハ=ルサイル・アリーナ)
【ドーハ(カタール)24日=宮下京香】女子シングルス準決勝で、世界ランク9位の伊藤美誠(24)=スターツ=は銅メダルを獲得した。同1位の孫穎莎(そん・えいさ)=中国=に0—4で敗戦。同種目の日本勢56年ぶりの金メダル獲得の夢は破れたが、10度目の世界選手権で自身初の表彰台に立った。女子ダブルス準決勝では張本美和(16)=木下グループ=、木原美悠(20)組が第2シードの王曼昱、蒯曼組(中国)に0—3で屈し、銅メダルが確定した。
孫への大声援が響く会場で、伊藤は敗戦が決まると2度うなずいた。相手のマッチポイント。最後は思い切り振り抜いた右のフォアがアウトとなった。王を破って日本勢で唯一挑んだ準決勝で、世界1位の孫から1ゲーム(G)も奪えず完敗。目を赤くし「悔しい。でもやりたいことは出し切れた。最後まで楽しめた」と気丈に振り返った。
過去2勝11敗の強敵。第1Gから両ハンドのドライブで強烈に攻め立てられた。「孫選手は(球の)回転量も強さも一つ、いやそれ以上。自分らしいプレーを出させてくれない。1Gに2、3球しか出せなかった」。第3Gのタイムアウトで、ベンチの母・美乃りさん(49)に「深呼吸」と言われ「してんだけど」と返し、努めて普段の会話で冷静さを取り戻すと、7—9から連続得点。息を吹き返した第3Gは9—11と食らいつき「今まで、はちゃめちゃにやって負けていたが、3G目のようにやれれば。(やることの)先が見えた」と敗戦の中でも収穫を得た。
パリ五輪代表の落選後に「世界ランク1位」を目標に掲げた。10度目の世界選手権で自身初のシングルス銅メダルに、かつて中国勢に「大魔王」と恐れられた実力者が復活を印象づけた。「自分でつかんだメダル。母と取れたし、一番楽しかった」。世界一への挑戦は続く。
◆伊藤 美誠(いとう・みま)2000年10月21日、静岡・磐田市生まれ。24歳。2歳で卓球を始める。世界選手権は団体で銀4、女子ダブルスで銀2、銅1。五輪は16年リオから2大会連続出場。リオ大会は女子団体で史上最年少の15歳300日で銅メダル。水谷隼と組んだ21年東京五輪混合複では、日本卓球史上初の金メダル。全日本選手権は女子単で3度V。世界ランク9位(自己最高は2位)。153センチ。