「失望を乗り越えるはずだ」井上尚弥に敗れたフルトンに米ボクシングメディアがエール!「目を引くショットも決めた」

2023年7月27日(木)16時8分 ココカラネクスト

チャンピオンとしての意地を見せたフルトン。井上を相手に前へ出て戦った(C)Getty Images

 7月25日、ボクシングWBC&WBO世界スーパーバンタム級タイトルマッチで、井上尚弥がスティーブン・フルトンを降し、新チャンピオンとなった。世界中から大きな注目を浴びたこの一戦は今なお、激闘の余韻が鳴り止まないままだ。

 8ラウンド開始から間もなく、井上が左ボディからの右ストレート、さらに追い打ちの左でこの試合初めてダウンを奪い、その後立ち上がったフルトンに猛ラッシュを仕掛け、レフェリーが割って入り試合を止めた。

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 改めて井上の強さが世界中に知れ渡ることとなったこの試合、その強打の威力を誰よりも味わったのが敗れたフルトンだ。アウトボックスでの戦い方もみられたものの、中盤以降は井上と正対し打ち合う場面も多く、「真っ向勝負」の末、壮絶なまでにマットに沈んだ。

 フルトンはこれがプロキャリア初黒星、もちろん2本のベルトも失った。しかし、敵地での防衛に臨んだ前王者には米国内において、そのファイトを称える声も送られている。米国ボクシングメディア『Premier Boxing Champions』は現地時間7月26日(日本時間27日)、公式サイト上でフルトンの特集記事を配信。激戦を振り返りながら、フルトンの今後への期待の言葉も並べている。

「フルトンは望んだ結果は得られなかったが、それでもこれほど大きなリスクを負ったことは称賛されるべきだろう。他に何人の人がそんな勇気を持っていただろうか?」

 同メディアは試合に挑んだフルトンの勇気、姿勢をそう評しながら、試合についても「フルトンは戦いの中で、特に競争力のある第5ラウンドと第7ラウンドでいくつかの良い瞬間を経験し、クリーンで目を引くショットをいくつか決めた。このまま試合を振り出しに戻すのではないかと思わせる場面もあった」として、フルトンにも勝機があったと指摘した。

 その上で「フルトンは今、肉体的というより精神的に傷ついている。何しろパーフェクトレコードを失ったのだから。キャリア最大の成功を象徴するチャンピオンベルトを失ったのだ。当然、自尊心も傷ついている」と敗者の心情を読み取りながら「しかし、フルトンは失望を乗り越えるはずだ。そのとき、彼の実力がわかるだろう」と見込みを述べている。

 トピックには他にも「いずれにせよ、彼が勝ち星を取り戻し、再びメジャータイトルを争う日はそう遠くないだろう。彼はあまりにも才能があり、洗練され、タフで、長く落ち込んでいることはできない」とフルトンの再起を後押しする言葉も記されている。

 日本での戦い、日程変更など、不利な条件をのみ込み、思いがけない事態にも見舞われながら、統一王者として受けて立ったフルトン。「世紀の一戦」のもう一人の主役を、最後まで全うしていた。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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