MotoGP:ミルが最高峰クラス初のタイトルに輝く。スズキライダーとしては20年ぶりの戴冠。優勝は接戦を制したモルビデリ/第14戦バレンシアGP

2020年11月15日(日)22時50分 AUTOSPORT web

 MotoGP第14戦バレンシアGPの決勝レースがスペインのリカルド・トルモ・サーキットで行われ、MotoGPクラスはフランコ・モルビデリ(ペトロナス・ヤマハSRT)が優勝を飾った。そして、ジョアン・ミル(チーム・スズキ・エクスター)が7位でフィニッシュを果たし、MotoGPクラスのチャンピオンを獲得。スズキに20年ぶりとなるライダータイトルをもたらした。


 決勝レースは気温22度、路面温度28度のドライコンディション。国際映像と風速を確認してみると、風が少し強めの状況。このレースはミルのタイトル獲得がかかる一戦となった。ミルは表彰台を獲得すれば、ほかのライダーの結果にかかわらずタイトル獲得となる。


 いいスタートを切って1コーナーにトップで飛び込んだのはジャック・ミラー(プラマック・レーシング)だったが、止まり切れずにモルビデリが先行する。ミラーは立て直して2番手で合流。ポル・エスパルガロ(レッドブル・KTM・ファクトリーレーシング)が3番手、中上貴晶(LCRホンダ・イデミツ)が4番で続く。


 ファビオ・クアルタラロ(ペトロナス・ヤマハSRT)は11番手スタートだったが2コーナーで痛恨のオーバーラン。18番手にまでポジションを落とすことになった。アレックス・リンス(チーム・スズキ・エクスター)は7番手に浮上。ミルは10番手、マーベリック・ビニャーレス(モンスターエナジー・ヤマハMotoGP)は13番手につける。


 トップを走るモルビデリは、ファステストラップをマークしつつトップをキープし、少しずつミラーとの差を広げていく。2番手にはミラー、3番手にはP.エスパルガロがつけ、P.エスパルガロの約0.8秒後方には4番手にはミゲール・オリベイラ(レッドブルKTMテック3)が浮上。中上は5番手に後退した。


 7周目にはリンスが6番手に浮上し、中上の背に迫る。この時点でミルは9番手。チャンピオンシップを争うリンスとしてはひとつでも前のポジションに上がりたいところ。10周目、同じくチャンピオンシップを争うクアルタラロが6コーナーで転倒を喫してしまう。この転倒により、クアルタラロのタイトル獲得の可能性は消失した。


 同じく10周目、最終セクターで中上がオリベイラをオーバーテイク。前戦と同じく再び4番手を奪還する。そして目の前の3番手を走るのは、やはりこちらもヨーロッパGPと同じくP.エスパルガロで、その差は約2秒。しかし、前戦と異なるのは残り周回数が16周という点である。また、リンスも中上に続き、オリベイラを交わして5番手に浮上した。


 中上は13周目、さらにその翌周にも自己ベストを更新。P.エスパルガロとの差を少しずつ削っていく。中盤に入り、中上のレースペースはトップ3を走るモルビデリ、ミラー、P.エスパルガロよりも0.2秒から0.3秒速い。16周目にはついに、P.エスパルガロとの差は1秒を切った。


 レースが折り返しを迎えて後半に入った17周目、ミルは依然として8番手を走行。ミルの前を走る7番手のビンダーとの差は約2秒あり、ミルとしては8番手争いの集団のトップでポジションをキープしている状況だ。そしてリンスは中上の約1.5秒差後方の5番手、ビニャーレスは11番手を走行している。


 19周目、中上とP.エスパルガロとの差は0.2秒を切るまでになった。ブレーキングで中上が3番手のP.エスパルガロのすぐ背後に迫る。もはやP.エスパルガロを射程圏内にとらえたかに思われた20周目の最終コーナー。中上がP.エスパルガロのインに飛び込み、わずかに先行したそのとき、フロントが切れ込んだ。中上は14コーナーでクラッシュ。そのままアウト側のグラベルに滑っていき、痛恨のリタイアとなった。


 中上の転倒によりリンスは4番手、ミルは7番手にポジションを上げている。そしてトップ争いは、2番手のミラーがトップを走るモルビデリとの差を少しずつ縮めていた。残り5周では0.5秒を切り、その差はわずかとなる。


 最終ラップ、ミラーがストレートの加速でモルビデリに先行すると1コーナーでオーバーテイク。しかしすぐさまモルビデリがポジションを奪い返せばミラーもオーバーテイクを繰り出す激しいトップ争いが展開された。モルビデリがトップで最終コーナーに飛び込む。先行して立ち上がったのはモルビデリ、そしてミラーはほんのわずか届かず、0.093秒差で2位フィニッシュとなった。3位はP.エスパルガロ。4位はリンス、5位はビンダーだった。


 そしてミルは7位でフィニッシュを果たし、2020年シーズンのチャンピオンを獲得。2000年シーズンにケニー・ロバーツJr.(Telefonica Movistar Suzuki)が獲得して以来のライダータイトルを、スズキにもたらした。





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