いつもと違い夜に来店しプリカ買った常連客、コンビニ店員「詐欺」と直感…通報し被害阻止「気を付けて」

2025年5月23日(金)16時58分 読売新聞

「幅広い年代へ詐欺に注意するよう伝えたい」と話すヘニーさん(1日、青森市で)

 コンビニ店員や郵便局員ら民間人が特殊詐欺被害を未然に防ぐケースが青森県内で相次いでいる。詐欺の手口が多様化する中、店頭や窓口を通して気付く「違和感」が詐欺被害の拡大防止に貢献している。(菅崚乃介)

■インドネシア出身店員が対応

 4月21日夜、青森市の「ローソン浪岡福田店」店長のへニー・スシラワティーさん(45)(インドネシア出身)は、レジにプリペイドカード2枚を持ってきた高齢の男性客の対応にあたった。

 カードの額は計18万円。「何の支払いですか」と優しく尋ねると、男性は落ち着いた様子で「パソコンがウイルスに感染した。修理のために買わないといけない」と答えた。

 男性は何度も来店している常連客だった。だが来店時間がいつもは朝だったことや、購入歴のないカードを買おうとしていたことから「詐欺だ」と直感した。詐欺かどうか確認するよう何度も声をかけたが、男性は「詐欺じゃないよ。パソコンを直さないと」と笑顔で返し、店を後にした。

 「止めきれなかったが不安な気持ちが残っていた」とヘニーさん。男性の退店後、すぐに青森南署に通報した。警察は防犯カメラなどから男性の自宅を特定して訪問。その場で説得して被害を防いだ。

 初めて詐欺被害を阻止したというヘニーさんは「自分が詐欺を止められて本当にうれしい。幅広い年代へ詐欺に気を付けるよう伝えていく」と意気込んだ。

 この5日前の4月16日には、弘前茂森町郵便局(弘前市)で、「通帳の残高を全額下ろしてください」と焦った様子の80歳代女性に、窓口の職員や局長が対応した。女性が「東京の警察官を名乗る人物から指示された」と説明したため、職員らが詐欺の可能性を指摘し、警察官の到着まで引き留めて被害を阻止した。

■阻止額3倍超

 県警生活安全企画課によると、昨年1年間に民間人が特殊詐欺被害を阻止した金額は約2729万円で、2021年(約867万円)の3倍以上に増えている。

 特殊詐欺の手口は多様化が進んでおり、詐欺と見抜きにくいケースも増えている。近年は警察官や実在する金融機関をかたって「口座が犯罪に利用されている」と脅した上、「逮捕回避」の名目で金銭を要求する事例も目立つ。

 県警では、特殊詐欺被害を未然に防いだコンビニや銀行に対し、21年から被害防止対策の優良店舗に認定する取り組みを始めた。今年5月19日現在で県内200施設を認定しており、全域で詐欺防止の意識向上を図っている。

 同課の大野吉康次長は「慌てていたり、携帯で通話しながら振り込もうとしたりするなど、少しでも変だと思ったら迷わず声をかけてほしい」と呼びかけている。

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