「申し訳ありま…」プチュン!「機動戦士ガンダム」プライドが傷ついたシャア、謝る部下との通信をブチ切る瞬間
2025年4月17日(木)21時0分 ABEMA TIMES

「私を誰だと思っているのだ?」——このセリフに、ちょっとカチンときたシャアの心がにじんでいたのかもしれない。アニメ『機動戦士ガンダム』第32話では、ホワイトベースの動向をめぐって、シャアと旧部下ドレン(CV:永井一郎)のやり取りが描かれるが、その一瞬の“間”に、シャア・アズナブル(CV:池田秀一)という男の人間くささが垣間見える。
【映像】シャアがドレンの通信をブチ切りする瞬間(8分18秒ごろ〜)
戦場は再び宇宙へと舞台を移し、シャアは戦艦ザンジバルを率いてホワイトベースの追撃に乗り出していた。この回では、かつての部下であるドレン大尉率いるキャメル艦隊に、ホワイトベースの迎撃を任せるという布陣が取られた。
ザンジバルからドレンへ送られた通信では、シャアが「お前の艦隊の位置なら、木馬の頭を押さえられる」と足止めを命じる。これに対し、ドレンは「わかりました」と快諾。さらに続けて「追いつけますか?」と確認を取るが、シャアは眉ひとつ動かすことなく「ドレン、私を誰だと思っているのだ?」と即答。
このセリフだけ聞けば堂々たる自信家のそれだが、ドレンが「申し訳ありません」と即座に謝罪し、「大佐」と言いかけたところで、シャアは無言のまま通信をブツッと切断した。
ただの業務連絡のやり取りのはずが、どこかシュールでじわじわくる。表情に動きはなくとも、あの一瞬、シャアの自尊心にひっかかるものがあったのではないか。そんなふうに勘繰りたくなる間の取り方が、このシーンの絶妙さだ。
ドレンに悪気はなかったし、指揮系統としては当然の確認だったのだろう。だが、シャアにとって自分の力量を疑われるようなセリフは、少し堪えるものがあったのかもしれない。
そもそもこの時点でのシャアは、まだザビ家への復讐も達成しておらず、ホワイトベースの撃破にも幾度として失敗している。自信の裏側に潜む焦りや苛立ちが、「通信ブチ切り」というちょっとした意趣返しに表れてしまった可能性もある。
ガンダムシリーズでも屈指の名将とされるシャアだが、そのプライドの高さと繊細さは、こういった小さなやり取りにもにじみ出ている。だからこそ彼は魅力的で、どこか“人間らしさ”を感じさせるのだ。
後輩からの一言にちょっとムッとしてしまった——その程度のことだとしても、「申し訳ありま……」プチュン!のやり取りは、シャアのキャラクターを語るうえで忘れがたいワンシーンだ。
アニメ「機動戦士ガンダム」は1979年4月から1980年1月まで放送されたサンライズ制作のロボットアニメで、富野由悠季監督が手掛けた作品。“リアルロボットアニメ”という新ジャンルを開拓し、以後のロボットアニメに多大な影響を与えた。放送当時の視聴率は振るわなかったが、再放送や劇場版の公開で人気が急上昇すると、「ガンプラ」ブームも生まれた。以降のガンダムシリーズや、スピンオフなどの派生作品も多数制作され、現在も高い人気を誇る。
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