天の川銀河中心の超新星残骸の“異常”をXRISMで観測 JAXA発表

2025年4月4日(金)20時0分 マイナビニュース


宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、JAXAが運用するX線分光撮像衛星「XRISM」を用いて、天の川銀河の中心に位置する超大質量ブラックホール「いて座A* (エースター)」から数光年の近距離にある超新星残骸「いて座Aイースト」の爆発噴出物に含まれる鉄イオンの量子状態を精密測定。その結果、電子殻が過剰に剥がされた(イオン化された)鉄プラズマの存在を明らかにし、その電子殻の剥がれ具合を温度で表すと、5,000万度を超えることを4月3日に発表した。
同成果は、国内外の約140名の研究者が参加する国際共同研究チームXRISM Collaborationによるもの。詳細は、日本天文学会が刊行する学術誌「Publications of the Astronomical Society of Japan」に掲載された。
太陽のおよそ8倍以上の質量を持つ大質量星は、寿命を迎えると超新星爆発を起こし、秒速数千kmもの衝撃波を星間空間に放出する。この衝撃波は、周囲の星間ガスや爆発時の放出物を加熱し、高温のプラズマ状態へと変化させる。
その結果として生成される高温の自由電子(原子核に束縛されずに自由に動き回れる電子)は、重元素と衝突してその電子殻を破壊し、イオン化を引き起こす。超新星爆発は宇宙規模で見れば非常に短い現象だが、重元素のイオン化は一般的に数万年かけてゆるやかに進行する。
しかし、一部の超新星残骸で観測されるプラズマは、イオン化(電子殻の剥がれ方)から推定される温度が、自由電子の温度よりも高い「過剰電離」状態を示しており、特異な進化過程をたどったと考えられている。実際にどのような物理過程を経たのかを解明するには、天体のプラズマ状態のより精密な理解が必要だ。
イオンの量子状態(原子に束縛された電子の数やエネルギー準位、スピンなどの物理量によって決定される原子の状態)を精密に測定することで、自由電子の温度や電子殻の剥がれ方を正確にとらえ、現在の状態に至るまでの過程を詳細に議論することが可能になるとされる。
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