「明らかに間違いを犯した」と語るM.マルケスの転倒とリタイアの理由/第3戦アメリカズGP
2025年4月1日(火)18時49分 AUTOSPORT web

3月30日、2025年MotoGP第3戦アメリカズGP MotoGPクラスの決勝レースがサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)で行われた。トップを走行中の9周目に痛恨の転倒を喫してしまったマルク・マルケス(ドゥカティ・レノボ・チーム)は、レース終了後に「明らかに僕は(フロントを)失い、間違いを犯した」と転倒した際の状況とリタイアの選択に至った理由を語った。
今季からドゥカティのワークスチームであるドゥカティ・レノボ・チームへ移籍したマルク・マルケスは、開幕戦タイGPから2戦連続でポールポジションを獲得し、スプリントと決勝ともに優勝。パーフェクトウインを収め、その記録をさらに更新すべく今回の第3戦アメリカズGPへと臨んでいた。今回の舞台となった左回りのCOTAは、マルケスが得意とするサーキットということもあり自信を示しており、今回も見事にポールポジションそしてスプリントでも優勝を手にした。引き続き絶好調かとも思われたが、決勝レースでは思わぬところにまさかの落とし穴があった。
初日から断続的な雨や不安定な天候に見舞われることが多く、決勝レース直前にも小雨が降り出しウエットレースの宣言が掲示される展開に。そのため、スリックかレインかとタイヤ選択が難しく、スタート直前にはそれを巡って少々混乱もあったが、一時赤旗中断を経てレースがスタートした。前後ともにスリックのミディアムタイヤを選択したマルク・マルケスは、ホールショットを奪い先頭を牽引していく。ペースも良く淡々と後方を引き離し、2番手に対して2.2秒差にアドバンテージを広げてトップを快走していた。
ところが、レース折り返しの9周目、なんと4コーナーで白線を踏んでフロントを失いスリップダウンを喫している姿が映し出されていた。その時の状況についてマルク・マルケスは、「明らかに僕は(フロントを)失い、間違いを犯した。1000分の1秒という緊張の状況下で、集中力の低下だった。集中していたし、レースで何をすべきかは明確だったけど、縁石を少しショートカットしたことでフロントを失ってしまったんだ。あれはこのトラックにおける僕の強みのひとつだったのに」と説明した。
雨上がりの場合、白線や縁石は水が残りやすい傾向がある。サーキットのアスファルトは水の吸収も早く、蒸発も相まって今回のレースではほぼ乾いていたが、白線や縁石は雨を吸収しづらく、蒸発を待つしかない。そのため、今回のマルク・マルケスの転倒も、ショートカットした際に濡れていた白線に足を取られたことが原因だったと言えるだろう。
転倒後はすぐに18番手で復帰したが、右のフットペグを失っていたこともあり、12周目の終わりにピットへと戻って今季初のリタイアを選択。その選択に至った理由については「フットレストがなくて、2分07秒〜08秒台で走っていて、19番手だった。その順位からは挽回の機会はなく、ポイントも稼げないからリタイアすることにしたんだ」と語った。
不安定な天候が起因となり、惜しくも3戦連続パーフェクトウインの達成は叶わなかった。加えて、ランキングも1ポイント差ではあるものの、首位を弟のアレックス・マルケス(BK8グレシーニ・レーシングMotoGP)に譲る結果となった。
ただ、マルク・マルケスは「(今回は)大惨事だったけど、人間だから時にはミスをする。幸いランキングのトップにはまだかなり近いから、このまま進み続けるよ。次戦カタールGPでも同じアプローチで、トラックを最もうまく解釈する方法を見つけていくよ。昨年はドゥカティで初めてレースウイークをカタールで過ごしたけれど、うまくいったからね」と前向きな様子。
今季初のリタイアとなってしまったが、タイトル獲得も視野に入れているマルク・マルケスは、もうすでに前だけを見て第4戦カタールGPへと準備を進めていることだろう。今回のアクシデントを経て、次戦以降は再びどのような強い姿を見せて他を圧倒していくだろうか。