導入には賛成?反対? DH制のないセ・リーグならではの醍醐味が詰まった一戦

2025年4月18日(金)5時15分 スポーツニッポン

 ◇セ・リーグ 阪神7-5ヤクルト(2025年4月17日 神宮)

 【畑野理之の談々畑】阪神は0—1の2回に2死一、三塁から近本光司の右前打で一時追いついた。直前に無死二、三塁から木浪聖也の三直に三塁走者の前川右京が戻れず。想定外の併殺打で2死二塁と変わり、投手のジェレミー・ビーズリーが打席へ。1番から始まる次の3回に期待しようと思っていたら、何とビーズリーが右前打。来日3年目、実に39打席目での初安打だからびっくりだ。

 その裏、今度はヤクルトが1死二、三塁から投手の吉村貢司郎が四球を選んで満塁とし、西川遥輝の右前適時打、長岡秀樹の中犠飛で2得点した。いずれも投手の打席がポイントとなり得点へとつながった。

 今、セ・リーグにもDH制を取り入れたらどうかという機運がある。榊原定征コミッショナーが今年1月の日本野球機構(NPB)の仕事始めで「セとパでルールが同じではないのはノーマルな状態ではない」と私見を述べている。同20日の12球団監督会議でも「セもDHの可能性」が議題に上った。正式決定には至っていない。

 MLBでもナ・リーグが22年シーズンから正式に指名打者制度を採用。東京六大学も4月10日の理事会で26年度からのリーグ戦での導入を正式決定した。日本のセ・リーグは、極めてまれな存在といえる。

 両方の意見が交錯している。反対派の代表格は阪神の顧問で、前監督の岡田彰布氏だろう。投手の打席での駆け引きも采配の腕の見せどころだと公言。送りバントやセーフティースクイズ、もしくは代打など選択肢はいくつもある。投手に打席が回るまでの戦術も野球の醍醐味(だいごみ)と言い切る。打順をシャッフルするダブルスイッチもベンチワークの一つだ。投手交代が勝敗の分岐点に何度もなってきた。一方で前巨人監督の原辰徳氏が「野球界を盛り上げるために」と賛成派だと伝わる。

 試合を決めたのは長打攻勢だった。阪神は延長11回に近本が決勝2ラン。8回は中野拓夢、森下翔太が連続二塁打して佐藤輝明が2ラン。9回にも森下が適時二塁打を放った。前後半で対照的な得点シーンだった。

 期待されていない投手が凡打の予測を裏切るのだから、何かが起こる。また、DH制も強打者が一人加わるのだから、もちろん面白さは増す。神宮球場のスタンドの盛り上がりを見て感じたのは、この日は楽しさも、醍醐味も、そしてボヤキポイントも、両軍に詰まった一戦だったのは間違いない。

スポーツニッポン

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