セットアップ変更後のビルドアップをしなかったのは「僕の責任」Q3に向けタイヤ温存も狙った予選【角田裕毅F1第7戦展望】
2025年5月18日(日)17時0分 AUTOSPORT web

2025年F1第7戦エミリア・ロマーニャGPの予選Q1で、角田裕毅(レッドブル)は、ターン5〜6の通称ビルヌーブ・コーナーで宙を舞った末にバリアに激突する激しいクラッシュを起こした。これほどまでに激しいクラッシュは、筆者の記憶では角田がF1にステップアップしてから初めての経験だったと思う。
なぜ、角田はクラッシュしたのか。映像を見ると、ターン5の縁石に乗った瞬間、マシンの姿勢が乱れたように感じた。しかし、角田はそれは関係ないと言う。「ターン5でいつもより早くターンインしましたか?」という問いに、角田はこう答えた。
「そういう感覚はないです。縁石に乗らないドライバーもいますが、乗るドライバーもいて、僕はたまに乗っていました。別に縁石に乗ったからといって遅かったわけじゃないので……」
しかし、ターン5で縁石に乗った角田が、直後にコントロールを失ったことは確かだ。なぜ、角田は縁石に乗った後にRB21を制御できなかったのか。考えられることは、予選前にセットアップ変更を行ったことが関係している。
フリー走行3回目でグリップ不足に悩んでい角田は、予選に向けて大きくセットアップを変更し、その作業は予選開始ギリギリまで行われた。角田はその理由をこう説明した。
「いろんなセットアップを試していって、悩みましたが、最終的に(セットアップを元に)戻したという感じです」
つまり、そのセットアップで土曜日の路面を走るのは、予選が最初だった。
「セットアップを大きく変更したときは、しっかりとビルドアップ(徐々にペースアップ)していかなければならなかったんですが……」
そう振り返る角田だったが、アタックラップに入って、事実上、最初のコーナーとなるタンブレロ・コーナーでマシンのフィーリングが改善していることを実感したため、そのままプッシュしたと考えられる。
もうひとつ、角田がQ1からプッシュした理由がある。それは、角田はレッドブルに移籍してから、本予選で4戦中3回Q3に進出しているが、Q3に進出することを優先していたため、新品のソフトタイヤをQ3に2セット残すことができず、Q3では攻めた走りができていなかった。
そこで今回の予選では、今までできなかったQ3に新品タイヤを2セット残すことを優先し、Q1を1セットだけで突破しようとして、最初からプッシュしていたと考えられる。
「セットアップを変えたとはいえ、まったくわからない状態ではなかったので……。でも、ただただ不必要(なクラッシュ)だったな、と」
つまり、今回のクラッシュはセットアップを大きく変えたマシンでいきなり縁石を攻めた結果、着地したときにマシンの挙動が予測不能となったことで対応しきれず、コントロールを失ったというドライバーエラーだった。
「ビルドアップをしなかったのは僕の責任ですし、チームに申し訳ないとしか今は言えません」
トップチームのマシンを走らせるドライバーに、不必要なミスは許されない。しかし、ミスを犯したのは土曜日の予選。今週末の角田に挽回するチャンスはまだ残っている。