【筑後鷹】伊藤優輔 目指すは上原浩治のような「勝てる投手」まずスタミナ強化
2025年5月27日(火)6時0分 スポーツニッポン
巨人にFA移籍した甲斐の人的補償で今季ソフトバンクに加入した伊藤優輔投手(28)はウエスタン・リーグで先発での調整を続けている。1勝5敗と黒星が先行しているが、前向きに練習に取り組んでいる。最速156キロ右腕が目指しているのは、野球を始めた頃から憧れている上原浩治氏(50)のような勝てる投手。1軍の先発で白星をつかむ意気込みだ。
本領を発揮した筑後の夜だった。伊藤はナイターで開催された20日のウエスタン・リーグ中日戦で先発。チーム事情もあり3回までの登板だったが、2安打無失点の好投を見せた。駿太、石川昂、村松ら1軍経験豊富なメンバーを抑える濃い内容。最速は149キロでカットボール、フォーク、スライダーなど変化球も光った。2軍の先発として黒星が先行しているが、「いろいろ試しながら課題を持ってやれています」と前向きだ。
東京都荒川区出身。3歳から始めた野球は父とのキャッチボールが原点だ。東京ドームにもよく連れて行ってもらった。憧れたのは巨人で01年から4年連続2桁勝利などNPB通算112勝を挙げた上原浩治氏。「やっぱり勝っているピッチャーでエース。そこが一番ですかね」。フォームもまねるなど、上原氏のような“勝てる投手”を目指してきた。
小山台では3年春に21世紀枠で選抜に出場し“都立の星”と注目された。社会人野球を経て入団した巨人では右肘内側側副じん帯再建術(通称トミー・ジョン手術)を乗り越えた。昨年1軍デビューを果たし、8試合に登板。阿部監督の期待は高かったが、巨人へFA移籍した甲斐の人的補償としてホークスへやって来た。
今春キャンプから先発にチャレンジしている。昨季の1軍登板は全て中継ぎで、首脳陣からはスタミナ強化をテーマとして授けられた。今月4日のオリックス戦(堺)では自己最多の101球を投げた。松山2軍監督はボールの質の高さを評価しつつ、悪い時はコースを狙いすぎていると分析する。11日の阪神戦(SGL)では移籍後最短の1回5失点でKO。3四球と制球が不安定だった。松山監督から「どんどんストライクを投げて打たれる方がマシだよ」とハッパをかけられ、「もっと自信を持って投げていけばいい」と背中を押された。
「球数は投げられてきてるし、中継ぎの時と違うバッターとの駆け引きもあると感じている。しっかり意識して結果につなげていきたい」と伊藤。1軍の真っさらなマウンドで投げる日が来ることを信じて腕を振る。(杉浦 友樹)
◇伊藤 優輔(いとう・ゆうすけ)1997年(平9)1月14日生まれ、東京都荒川区出身の28歳。小山台では3年春に甲子園出場。中大から三菱パワーを経て、20年ドラフト4位で巨人に入団。1年目オフに育成で再契約。24年7月に支配下復帰した。実家は保育園などに提供するパン店。リラックス方法は何も考えず過ごすこと。1メートル78、82キロ。右投げ右打ち。