指名順位予想不可能すぎる早大・伊藤樹は「ドラフトキング」になれるか...目から鱗の恩師・須江監督の評価

2025年5月28日(水)7時0分 スポーツニッポン

 運命のドラフト会議を10月に控え、プロを志望するアマチュア野球選手たちがアピールに励んでいる。近年はスケールの大きな選手、一芸に長けた選手の評価が高まる傾向にあり、昨年のドラフトでは日本ハムの指名が顕著だった。1位の福岡大大濠・柴田獅子から4位の前橋商・清水大暉まで素材型の大型投手を4人連続で指名した。

 アマチュア野球を担当する記者は節目で「今秋ドラフト1位候補表」をスポニチ紙面に掲載している。競合1位指名不可避の評価を得ている創価大のスラッガー・立石正広内野手(4年)、高校No・1投手の健大高崎・石垣元気投手(3年)らは文句なしで選出できるが、評価を迷う選手もいる。早大のエース右腕・伊藤樹投手(4年)がその筆頭だ。

 19日の明大戦で、東京六大学野球史上25人目のノーヒットノーランを達成した最速152キロ右腕。ここまでリーグ戦53試合に登板し、18勝3敗、防御率1・88と輝かしい実績を残している。スタミナ、コントロールともに抜群で、左打者も低めへのスプリットで料理するリーグNo・1投手だ。

 ただ、体格は1メートル76、78キロで、150キロ台を連発するパワーアームではなく、「トレンド」のスケール感もない。だからこそ評価は難しい。

 一人で悩んでいても、しょうがない。伊藤樹の恩師にあたる仙台育英・須江航監督への電話取材の際、「真価」を聞いてみた。

 ——ドラフト候補選手として伊藤樹をどう評価しますか?

 「プロの1軍で10年以上どんな役割も担うことができそうだ、と見れば今年の大学生の中で樹はかなり上位だと思います。現状のドラフト1位候補には、メジャーリーガーになれるかもみたいなポテンシャルを持っている子、夢のある子がいっぱいいる。それでも樹はケガにさえ気をつけてもらえば、10年、15年とプロでやれるメンタリティ、スキルをバランスよく持っている。“本当に長く活躍したよね”となる選手は樹だと思っている。そういう意味ではドラフト1位にふさわしい選手と思います」

 目から鱗が落ちた。現在、プロ野球で活躍している巨人・赤星や阪神・村上、日本ハム・金村らは必ずしも「スケール」を評価されて指名された投手ではない。「第2の村上」という観点の下だと、確かに伊藤樹はドラフト1位指名に値する。しかも、早大エースの姿を体現する伊藤はリーグ戦において1戦目、そして3戦目があれば中1日で先発している。プロで中6日空けて投げれば球速、変化球の切れともに現状より向上する可能性もある。

 15年プロでやれるメンタリティ、スキルをバランスよく持っている——。恩師の言葉が実現すれば、間違いなく「ドラフトキング」だ。10月のドラフトまで約5カ月。伊藤樹の歩みを追っていきたい。(記者コラム 柳内 遼平)

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