F1技術解説:悩みはナーバスなリヤ挙動。レッドブルはリヤウイングをいいとこ取りのミックスデザインにして性能向上を図る
2020年7月18日(土)13時9分 AUTOSPORT web

レッドブル・ホンダはテストおよび開幕戦でナーバスなリヤ挙動に悩まされていたが、第2戦シュタイアーマルクGPには新しいリヤウイングを投入していた。開幕戦での新型ノーズに加え、矢継ぎ早の大型アップデートとなった。
ダン・ファローズ率いるミルトンキーンズの空力開発部門が改良した今回の新リヤウイングは、ハースが2019年ドイツGPに投入し、今季のVF20でも継続使用されているデザインと同じコンセプトである。
特徴的なのが翼端板外側の、ユニークな形状の切り込みである(白矢印参照)。さらにその上部には、3枚の整流板も入った(青矢印参照)。そして上端の形状も階段状に変更されている(黄色矢印参照)。
レッドブルは他の多くのマシンに見られる翼端板下部のすだれのような切れ込みは採用していない。この方針はすでに2017年から続いていることだ。
すだれ状の切れ込みは、リヤタイヤがリヤウイングまで巻き上げる乱流を整える役割を果たす。今回、レッドブルが採用してきた「ハース型の切れ込み」は、その役目を代替するものと思われる。
もうひとつの階段状の形状は、ウイング上部に発生する渦をよりきれいに巻かせることを目的としている。こちらはメルセデスがハースと同じく去年のドイツGPで投入したものから発想を得たようだ
最後に細かい変更ではあるが、翼端板前部がわずかに内側に湾曲された(緑矢印参照)。こちらは去年のトロロッソSTR14が先べんをつけ、その後アルファロメオC38が追随した処理である。
ごくわずか変更とはいえ、それらが積み重なって性能が向上されるのがF1マシンの空力開発である。