ブランパンGT第8戦:ダンプ路面のなかGRTウラカンが完勝。雨中のレース2はメルセデスAMGが制す
2018年9月3日(月)14時45分 AUTOSPORT web
ヨーロッパの人気GT3レース、ブランパンGTシリーズの第8戦ブダペストが9月1〜2日、ハンガリーはハンガロリンクで行なわれた。スプリント形式の今戦、レース1はGRTグラッサー・レーシング・チームの63号車ランボルギーニ・ウラカンGT3(クリスチャン・エンゲルハート/ミルコ・ボルトロッティ組)が優勝、翌日のレース2ではAKKA ASPチームの88号車メルセデスAMG GT3(ミハエル・メドウズ/ラファエル・マルチェッロ組)がウエットレースを制している。
上空から日差しは降ってくるものの、路面は雨で濡れている状況で迎えた土曜のレース1。タイヤ選択が分かれる可能性もあったが、各チームはピットストップ義務以外のタイムロスを嫌い、ほぼ全車がスリックタイヤでグリッドを離れていった。
1周のフォーメーションラップを終えてAKKA ASPチームの90号車メルセデスAMG GT3を先頭にレースがスタート。すると直後、5番手グリッドから抜群のスタートを決めた63号車ランボルギーニが1コーナーまでに上位4台をパスしてトップに躍り出る。
エンゲルハート駆る63号車ランボルギーニはオープニングラップだけで後続に4.4秒の差をつけると、その後もぐんぐんとギャップを築いていく。
その後方では、唯一ウエットタイヤを装着して12番手スタートした3Yテクノロジーの37号車BMW M6 GT3が、3番手に順位を落とした90号車メルセデスと2番手のAKKA ASPチーム、87号車メルセデスAMGのメルセデス勢を3周目までに交わして2番手に浮上。しかし、急激に乾いていく路面コンディションは37号車BMWを味方せず。その後ペースダウンを余儀なくされた3Yテクノロジーの大博打は失敗に終わった。
レース中盤のピットストップ後も63号車ランボルギーニが首位を堅持する一方、87号車メルセデス以下の表彰台争いは激しさを増していく。このなかで光る走りをみせたのはAKKA ASPチームの88号車メルセデスAMG GT3を駆るラファエル・マルチェッロだ。
ピットアウト後、5番手でコースに復帰したマルチェッロは、19周目にベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの2号車アウディR8 LMS、90号車メルセデスを立て続けに攻略して3番手にポジションを上げると、レース終盤にかけて最大9秒近くあった僚友87号車メルセデスとのギャップを1.3秒にまで縮めてみせる。
このプレッシャーに飲み込まれたのかチェッカーまで残り2分となった32周目、2番手を走る87号車メルセデスが13コーナーでまさかの単独スピン。これによってマルチェッロは労せず2番手を得た。
レースは1周目からリードを築いた63号車ランボルギーニが33周終わりにトップチェッカーを受け、開幕戦ゾルダーのレース1以来となる2018年シーズン2勝目をマーク。88号車メルセデスが2位に入り、スピンを喫した87号車メルセデスは3位/シルバーカップ1位でのフィニッシュとなった。
「天候が今日のレースの鍵になった。もし完全なドライ路面だったら、あのような素晴らしいスタートはできなかったと思う」とレース後に語ったエンゲルハート。
「この週末はメルセデスが本当に速い。それはドライでも同じだ。前半と後半の両スティントで早めにギャップを築くことが重要になり、僕たちはそれを実行することができた。シーズン中盤は苦しい展開になったけど、またチームとともにトップに戻って来られてうれしいよ」
■レース1でも速さをみせたマルチェッロ組88号車メルセデスが見事ポール・トゥ・ウイン
レース2が行なわれた日曜はあいにくの雨模様。60分のタイムレースはセーフティカー先導のもと3周目にスタートが切られ、ウエットタイヤを履いた各車は慎重に1コーナーに侵入していく。
前日2位の88号車メルセデス、ブラックファルコンの6号車メルセデスAMG GT3、レース1を制した63号車ランボルギーニのトップ3に順位変動は見られなかったが、カルロ・バン・ダム駆るTP12-ケッセル・レーシングの39号車フェラーリ488 GT3はペースが上がらず、4番手から徐々にポジションを下げていってしまった。
レース後半に入ってもトップ3の顔ぶれは変わらず。このままの順位でチェッカーを迎えるかと思われたが、スタートから40分過ぎ、3番手を走る63号車ランボルギーニが、ピット作業違反によるドライブスルーペナルティを受け表彰台圏内から脱落。これによって3番手に上がったベルジャン・アウディクラブ・チームWRTの1号車アウディR8 LMSは、すぐさま2番手の6号車メルセデスを捉えると一気に交わしてみせる。
この直後、39号車フェラーリがグラベルにスタックしたことでフルコースイエロー、セーフティカーが導入され、後続車に8秒あまりのギャップを築いていた首位88号車メルセデスの貯金がゼロになってしまった。
中盤にかけて収まっていた雨がふたたび降り出してきた50分過ぎにレースがリスタートされると、グリップ力が低下するなか1コーナーで6号車メルセデスが1号車アウディに仕掛け並びかける。しかし2コーナーの侵入でアウト側になった6号車は、ラインが膨らみ7番手までドロップすることに。
チェッカーまで残り4分、リスタートラップにに4番手から順位を上げたサンテロック・レーシングの25号車アウディR8 LMSが同門の1号車アウディを6コーナーで強襲する。一度はこれを抑えた1号車アウディだったが、翌27周目に同じコーナーで膨らんでしまいサンテロックに加えて、アテンプト・レーシングの66号車アウディR8 LMSにまでポジションを奪われてしまう。
そんな2番手争いが白熱するなか、スタートから首位を守り続けた88号車メルセデスは最後までリードを保ったままファイナルラップを迎え、危なげない走りでトップフィニッシュを飾った。実質的なワークスチームを最終盤に破ったサンテロックの25号車アウディが2位、同じくサテライトチームのアテンプトが走らせる66号車アウディが3位に入っている。
ブランパンGTシリーズの次戦第9戦ニュルブルクリンクは2週間後の9月14〜16日、ドイツ・ニュルブルクリンクで開催される。同戦は2018年のブランパンGTシリーズ・スプリントカップの最終戦だ。