熱男・松田宣浩独占インタビュー プロ18年の根底にあった王会長の「教え」とは
2023年10月13日(金)18時29分 ココカラネクスト

引退試合でもはつらつとした姿を見せた(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext
巨人・松田宣浩内野手が今シーズン限りで引退した。
松田は2005年大学生・社会人ドラフト希望枠でソフトバンク入り、通算1832安打、301本塁打、991打点をプロ18年で積み上げた。侍ジャパンの一員としても13年、17年のWBCにも出場、ソフトバンクでは6度のリーグ制覇、7度の日本一に貢献、「熱男」の愛称で親しまれた。
球界には珍しい「声」の貢献で大きな存在感を示した松田にCoCoKARAnextが独占インタビューを敢行。注目の第一回はプロ生活18年を支えた「教え」について、聞いた。
10月1日に行われたヤクルトとの引退試合。本拠地東京ドームで行われた一戦に松田は「6番・三塁」で先発出場。試合前の円陣では声出し役を務め「最後は熱男でいきましょうか」とナインをまとめると、一邪飛、右飛で2打席を終えた後、6回は1度三塁守備についてから、ベンチに引きあげた。三塁手として計8度のゴールデン・グラブを受賞した松田を敬した首脳陣の粋な計らいだった。
試合後行われた引退セレモニーでは幼少期から憧れた巨人で現役時代を終えた幸せに感謝しながら、4万1630人のファンと一緒に「熱男!」コール、最後は定位置の三塁で5回宙に舞い、万感の思いで現役生活を終えた。
40歳までプロ生活を続けるというのは並大抵のことではない。果たして松田を支えたものは何だったのか。
この点に関して松田は引退セレモニーでビデオメッセ—ジを寄せたソフトバンク・王貞治会長からの言葉をあげた。
「王会長は1年目の時の監督さんで、プロ野球とは何かということを教えていただいた」とプロ人生の基礎を学ばせてもらったと語る。2006年のルーキーイヤーは62試合に出場し、打率・211、3本塁打、18打点。レギュラー獲得を目指して汗を流す日々の中で、当時の王監督から言葉をかけられたという。
「ずっと大切にしていた言葉は『プロ野球選手は143試合あるから1試合でも気を抜いてしまうことがあるかもしれないけど、ファンの中には1試合しか来ることができない人もいる。だからこそ、1試合も手を抜くことはしてはいけないという使命感をもってやりなさい』ということ。最後まで王会長の教えを守り切ることができたと思います」と松田は胸を張る。
この教えは常勝軍団の巨人軍の教えでもあり、ファンファーストを貫き、どんな試合でも全力を尽くすという松田の姿勢はこの言葉から生まれたものといえる。
そして松田に金言を授けた王会長は引退試合のビデオレターでこんなメッセージを寄せた。
「本当に君は入ってきた時から常に元気で、チームの先頭に立って、戦う集団を引っ張ってくれましたね。本当にプロ野球選手のなかでもなかなか君みたいに元気のある人はいない」としながら、「ちゃんとホームランも300本(301本)打ってるし、打点ももう少しで1000打点(991打点)だったね。本当によく頑張ったと思う」とねぎらいの言葉をかけた王会長。
さらには「やはりプロ野球選手として大事なのは、君のような頑丈な人がね、休まない、夏場もバテてることを感じさせない。それはプロとして一番大事な部分じゃないかと」と改めて、「強い体」を保ち、真摯に野球に取りくんできた点もたたえられた松田。
スピーチの最後には「だから本当に君はプロ野球選手として、本当に凄い。立派な仕事をしたと、そのように思います。子供さんたちの前で本当によく頑張って、ファンの皆さんも喜んでくれて。本当に君の野球人生は僕からしたら本当にうらやましい。ああいうふうに生きられたら良かったなぁと思うぐらいの野球人生だったと思います。本当に胸を張って、生きていってください」とエールを送られた。
この王会長の温かい言葉に松田も涙が止まらなかった。どんなときも全力で向き合う。熱男の原点は王会長からの言葉にあった。第2回では、巨人でも絆を育んだベテラン、坂本勇人選手へのエールを取り上げる。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]