「1位確実」のタレント不在の中で突き抜ける逸材は? 例年以上の混戦模様の25年ドラフトの“1位指名候補”を予測

2024年11月10日(日)7時0分 ココカラネクスト

来秋のドラフトで1位候補となる立石(左)と石垣(右)。(C)産経新聞社

三冠王に輝くなどリーグを代表する強打者へと成長した大砲

 宗山塁(明治大→楽天1位/内野手)、金丸夢斗(関西大→中日1位/投手)、西川史礁(青山学院大→ロッテ1位/外野手)、中村優斗(愛知工業大→ヤクルト1位/投手)の大学生4人が最初の1位入札となった今年のプロ野球ドラフト会議。この4人は今年3月に行われた侍ジャパントップチームの強化試合にも召集されるなど昨年時から評判となっており、1年を通して安定した活躍を見せた結果と言えた。

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 ただ、来秋のドラフトに関しては、彼らのように「1位が確実」という選手は不在という印象を受ける。そんな中で今回は1位を狙えそうな可能性を持った選手を探ってみたいと思う。

 まず、人気が集まりやすい大学生だが、現時点で最も評価が高くなりそうなのが、立石正広(創価大・三塁手)だ。

 高川学園では3年時に夏の甲子園に出場。チームは初戦で敗れたもののセンターにホームランを放って存在感を示した。創価大でも1年秋からレギュラーに定着すると、2年春には打率.500、5本塁打、14打点で三冠王に輝くなどリーグを代表する強打者へと成長。今年は3年生ながら大学日本代表に選ばれ、4番も任せられている。

 たくましい体格を利した豪快なスイングは迫力十分で、遠くへ飛ばす力は、1学年上の西川や渡部聖弥(大阪商業大→西武2位/三塁手兼外野手)と比べても遜色ない。肩の強さと脚力も魅力で、サードの守備も及第点と言えるレベルだ。

 今秋のリーグ戦は厳しいマークもあって低迷。調子の波は見られるのは課題だが、リーグ戦後に行われた横浜市長杯でも豪快なホームランを放つなどさすがの打撃は見せている。同じ三塁手の強打者タイプの選手では、谷端将伍(日本大)、松下歩叶(法政大)も控えているが、実績とスケールでは立石がリードしていると言えるだろう。

 大学生の内野手では松川玲央(城西大/遊撃手)の評価も高い。入学当時、二部リーグに属していたチームで1年春からレギュラーとして活躍。一部に昇格した2年秋から3季連続でベストナインに輝くなどリーグを代表するショートとなっている。

 持ち味は高いミート力とスピード。一部での37試合で通算49安打、25盗塁、打率.358を誇る。昨年12月に行われた大学日本代表候補合宿での50メートル走の計測では、全参加選手の中でトップとなる5.88秒を記録した(スタートは各自のタイミングで光電管による計測)。183㎝の長身でホームラン打者ではないものの、長打力も申し分なく、守備範囲の広さと肩の強さも備えている。

 貴重な大型ショートだけに人気の集中が予想される。同じ首都大学リーグのショートでは全くタイプは異なるものの、大塚瑠晏(東海大)も小柄ながら抜群の守備力とスピードを誇り、大学日本代表の正遊撃手争いのライバルとなりそうだ。

 もう1人、大学生野手で浮上してきそうなのが小島大河(明治大/捕手)だ。東京六大学でリーグ戦通算56安打、打率.337を誇る強打のキャッチャーで、今年は大学日本代表でもプレー。大学生捕手は毎年プロから指名される人数は少ないが、なかなかいない強打の捕手だけに、高く評価する球団も出てくるだろう。

高校球界には投手の好素材がひしめく

 また、投手では東京六大学通算13勝2敗(11月4日終了時点)という抜群の成績を残している伊藤樹(早稲田大)が実績ではリードしている印象を受ける。その中で伊藤以上の評価を受けそうなのが、堀越啓太(東北福祉大)と高木快大(中京大)だ。

 堀越は練習では160キロを超える球速を記録する本格派サイドスロー。実戦でもコンスタントに150キロ台中盤をマークし、躍動感あふれるフォームから繰り出すボールの勢いは目を見張るものがある。この秋は変化球もレベルアップし、5試合、12回を投げて自責点0という見事な成績を残した。

 基本的にリリーフでの起用という点がどう評価されるかが難しいところだが、本人が目標と話している大勢(巨人)の大学時代と比べてもあらゆる点で上回っているように見えるだけに、十分1位も射程圏内と言えそうだ。

 一方の高木は愛知大学リーグを代表する本格派右腕。今年春のリーグ開幕戦では完全試合を達成すると、続く大学選手権でも強豪を相手に好投し、大学日本代表として国際大会でも結果を残した。真上から投げ下ろすフォームでイメージは森下暢仁(広島)と重なる。

 高い位置からリリースしながらも、ボールのホップ成分はかなり多いとのことで、数字以上の勢いが感じられるのが長所だ。秋は故障もあってシーズン途中で離脱したが、短いイニングでは150キロも超えるスピードもマークしており、順調にいけば来年の有力候補となる可能性は高い。

 高校球界はどうか。投手に好素材がひしめく中で1位候補となりそうなのが、石垣元気(健大高崎)と芹沢大地(高蔵寺)。

 石垣は入学当時から投手陣の一角に定着し、今年春の選抜高校野球でもチームの優勝に大きく貢献。ストレートはコンスタントに150キロを超え、スピードに関しては歴代の高校生投手の中でもトップクラスである。

 春まではスピードはありながらもとらえられることが多かったが、秋の新チームからは変化球の制球力もアップした印象を受ける。チームは関東大会の決勝で敗れたものの、2年連続の選抜出場は確実な状況で、甲子園でどこまで成長した姿を見せてくれるかが楽しみだ。

 芹沢は愛知の公立高校で注目を集めているサウスポー。まだまだ身体は線が細いものの、柔らかい腕の振りで球持ちが長く、145キロ前後のストレートは数字以上の勢いがある。また、高校生左腕ながらコーナーに投げ分ける制球力とスライダー、チェンジアップなどの変化球のレベルも高く、球数を抑えながら三振を多く奪えるのも魅力だ。

 侍ジャパンの井端弘和監督も夏の大会でその投球を視察しているというところにも、ポテンシャルの高さがうかがえる。フィジカル面の強化は必要だが、順調にいけば上位候補となる可能性は極めて高いだろう。

 社会人は現時点で1位候補と呼べる選手は不在という印象だが、今年もそう言われながらも竹田祐(三菱重工West→DeNA1位)、伊原陵人(NTT西日本→阪神1位)と2人の投手が1位指名を受けている。それだけに、来年一気に評価を上げてくる選手が出てくることを期待したい。

[文:西尾典文]

【著者プロフィール】

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。

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