小林弘幸 60歳を過ぎた人が<わくわく><感動>しにくくなるワケ。「自律神経は年齢とともに低下。なので老いないために大切なのは…」
2025年5月21日(水)6時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
「自律神経は50歳を過ぎると、野生動物であれば自然界で生きられないレベルまで下がる」——。そう語るのは、自律神経の名医・順天堂大学医学部の小林弘幸教授です。避けて通れない<老い>の真っただ中で、自律神経を整えて楽しく過ごしていくためには、どのような習慣を身に付けたら良いのでしょうか?今回は、小林教授の著書『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』から、すぐに実践できる<老いない習慣>を一部ご紹介します。
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「やめる」とは「はじめられる」ということ
私は、常に職場も自宅も片づけていますが、これにはさまざまな理由があります。
気持ちがすっきりするから、自律神経が整うから、効率よく動けてパフォーマンスが上がるから……などいろいろありますが、一番の理由は、いつでもはじめられるようにしたいからです。
片づけることで新しい環境ができる。新しい環境ができると、まるで引っ越したばかりのときのように初心に返ることができます。
この「初心に返る」ということが大事で、いくつになっても初心に返れば、フレッシュな気持ちで、ある程度の緊張感をもって、わくわくしながら一日をスタートすることができます。
わくわくすることは大切
この、わくわくする、ということが自律神経にはとてもよい影響を与えます。
では、わくわくすると、交感神経、副交感神経、どちらが高まると思いますか?
実は、わくわくするとどちらか一方ではなく、両方が高まります。
これは自律神経にとっては一番よい状態です。両方高まるのは、わくわくしたとき、感動したときです。
自律神経は加齢とともに衰える
ところが、自律神経は加齢とともに衰えていくため、60歳を過ぎるとわくわくも感動もしにくくなります。
例えば顔見知りの好感度の高い異性がいたとします。そんな人に突然肩にふれられたとします。20代なら、おそらく心臓がドキドキして交感神経も副交感神経も一気に上がるでしょう。
(写真提供:Photo AC)
でも50代ともなると、そんなことがあってもそれほどドキドキしなくなります。むしろ、「肩にホコリでもついていました?」という気持ちが先にくるようになります。
これはもう経験値の問題です。経験値があると慌てることが減る分、感動も減っていきます。年齢とともに自律神経のトータルパワーがどんどん下がってくることに加えて、感動が減るというのも自律神経が上がりにくくなる理由です。
新しいことをはじめるためには
ですから、新しいことをはじめることは大切です。新しいスタートを切れれば、新しい人生がついてきます。
そのためには、はじめられる余裕を持つこと。その第一歩が、「やめる」「捨てる」「片づける」です。これができないと、はじめられません。
これができる人は、はじめられる人で、老いない人です。
※本稿は、『老いが逃げていく10の習慣 自律神経さえ整えばすべてうまくいく』(講談社)の一部を再編集したものです。
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