「家を残す」はもう古い? いまどきの親500人の本音とは
2025年5月27日(火)12時23分 マイナビニュース
AlbaLinkは、「今住んでいる家を子どもに残したいかに関する意識調査」の結果を5月23日に発表した。同調査は、2025年4月23日〜27日の期間、子どもがいる500人(女性367人/男性133人)を対象にインターネットを用いて行われた。
今住んでいる家を子どもに残したいか尋ねたところ、「思う」と答えた人は48.2%となった。実家を相続して困ったという体験談がネットメディアやSNSを中心に広く共有されるようになった昨今、「家を残すことが必ずしも子どものためにならない」という考えが一般化しつつあり、そういった背景から、家を残したいと考える人が少数派になっているという。
「今住んでいる家を子どもに残したい」と答えた人にその理由を聞いたところ、最も多かったのは「資産価値があるから」で、全体の44.8%を占めた。ついで「住宅費が節約できる」(24.9%)、「立地がいい」(12%)という結果になった。
「資産価値がある」とする理由の多くは、「駅近」や「都心にある」といった立地の良さに裏打ちされており、「土地だけでも財産になる」「現金は残せなくても家が残せれば良い」といった声がみられた。また、家を子どもに住んでほしいと明言する人だけでなく、「売って現金化してもいい」とする柔軟な姿勢も見られ、子どもの意思を尊重しながらも有用な資産として家を残したいという親の気持ちがにじみ出ている。
一方で、少数派ながら「思い入れがある」という感情的な理由を挙げた人も。「親のエゴかもしれない」「思い出が詰まっている」といった意見から、子育て期をともに過ごした家への深い愛着と、子どもに引き継いでほしいという希望がうかがえた。
続いて「今住んでいる家を子どもに残したくない」と回答した259人に、その理由を尋ねたところ、最も多かったのは「好きな家に住んでほしい」(30.1%)という意見だった。
この「好きな家に住んでほしい」と考える人々のなかには、子どもの職業や価値観が多様化している現代において、「家を継ぐ」という発想自体が子どもの自由を制限しかねないと考える人もいた。また、「子どもが希望すれば住めるようにはしておく」といった柔軟な姿勢もあった。さらに、「世帯構成や時代によって求められる家のあり方は変わる」「現在の家は自分たちの暮らしには合っているが、子どもには別の選択肢を持たせたい」といった声も寄せられた。
そのほか、「子どもに負担をかけたくない」(23.2%)「立地が悪い」(17%)「築年数が古い」(13.5%)などの理由も挙がっており、実家を残すことで子どもを縛りつけたり負担をかけたりすることを避けたいという思いが強く表れる結果となった。
そして「今住んでいる家の希望の活用方法」として最も多かった回答が「子どもが住む」(32.4%)だった。2位は「賃貸にする」(15.6%)、3位「売却して現金化」(14.0%)、4位「売却して老後資金にする」(10.6%)と続いた。
「子どもに住んでほしい」と考える人の多くは、家への思い入れに加えて、子どもの生活費を軽減できるといった実用面も重視しており、感情と合理性の両面を兼ね備えた選択といえるだろう。ただし、子どもが実家に戻ることを望んでいない場合には、親子間で考え方のズレが生じる可能性もある。
一方で、賃貸や売却など、子どもが住まない前提の活用を望む声も多く寄せられた。なかでも、「現金化」「老後資金に充てる」「子どもにお金を残す」など、売却を前提とする選択肢が目立った。また、「子どもが希望すれば住んでほしいが、そうでなければ売却する」といった、子どもの意向を尊重する配慮のある姿勢も見られた。
「今住んでいる家をどのように活用してほしいか子どもに伝えるか」という問いには、57.0%が「伝える」と回答。多くの親が、自宅の将来的な扱いについて子どもに自分の意思を伝えたいと考えていることが明らかとなった。この背景には、「相続のトラブルを回避したい」「親の思いを尊重してほしい」「あらかじめ子どもと話し合っておきたい」という気持ちがあると同社は分析している。