「オマエ、手コキしたことないんか?」中居正広と“大物タレント”が高級ホテルでX子さんに聞いていた“普通の会社ではありえない内容”
2025年5月3日(土)12時0分 文春オンライン
「業務の延長線上」で起きた「性暴力による重大な人権侵害」。第三者委員会が認定した中居と編成幹部A氏の罪とはいかなるものか。週刊文春4月10日号より、週刊文春取材班が掴んだ全真相を公開する。(全2回の前編/ 続きを読む )
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フラッシュバックに苦しむX子さん
小誌記者が初めて元フジテレビアナウンサーX子さんと対面したのは、昨年12月1日午後2時過ぎのこと。ベージュのロングコートに身を包んだ彼女は目深に被った帽子のつばを少し上げ、言葉を絞り出した。
「私の未来を、私の人生を潰してまで“加害者”に責任を取ってもらうことが私の人生にとって幸せかって言われたら分からない。でも、そりゃ社会的な処罰を受けてほしいって思うことはすごいある。やっぱりX(旧Twitter)やテレビで“加害者”や(編成幹部の)Aさんが目に付いたとき、それでフラッシュバックするし……」

2023年6月2日。彼女の人生を暗転させたのは、元SMAPの中居正広(52)による意に沿わない性的行為だった。彼女は中居を終始“加害者”と呼び、目を潤ませる。
「自分みたいな人間が増えないためにも……やっぱり業界が変わっていかないと。向こうは番組を作る側、キャスティングする側だから私たちに拒否権はないじゃないですか。(タレントへの接待に)行くしかないみたいな感じで。それが許される社会になっちゃったらいけないよな、って」
最初の取材から4カ月。フジの第三者委員会は約2カ月間にわたる調査を経て、1つの結論を導き出した。
〈両者の権力格差、CX(フジテレビ)におけるタレントと社員との会食をめぐる業務実態などから、本事案は、CXの「業務の延長線上」における性暴力であったと認められる〉(調査報告書)
「世間に“被害者”と認識されたくなかった」
今年2月、第三者委の調査が本格化する中、X子さんは小誌記者に葛藤の日々を明かしていた。
「当初、私はこの事件のことを隠したかった。世間に“被害者”と認識されたくなかったけど、こうして報じられ、誹謗中傷され、蔑まれ……。私のことを『もともとメンヘラだった』とか『精神的に不安定だから嘘をついている』と言ってくる人もいます。ずっとやるせない気持ちです。私には嘘をつくメリットが全くないのに」
中居が重ねた嘘の数々
第三者委が公表した394枚に及ぶ調査報告書は、全面的に彼女の主張に沿ったものだった。一方、浮き彫りになったのは、中居が重ねた嘘の数々である。
〈今晩、ご飯どうですか?〉
全ての始まりは事件当日、中居がX子さんに送信した一通のショートメール。X子さんが夜7時に仕事が終わる旨の返信をしたところ、中居は彼女を安堵させるように、こう返した。
〈メンバーの声かけてます。また、連絡します〉(原文ママ)
〈断ったりしたら仕事に影響が出るのではないか〉
第三者委の調査によると、中居は、実際は誰にも声を掛けていない。そして、さらに嘘を重ねていく。
〈雨のせいか、メンバーが歯切れわるくいないです〉
〈隠れ家的な、お店。自信はありませんが、探してみますね〉
この点についても中居は、店を探すことはなかったと述べている。
〈メンバー見つからずです〜。どうしよかね。2人だけじゃ気になるよね〉
仕事を終えたX子さんは、今さら拒否できない状態に追い込まれた。中居は姑息な手段で部屋に誘導する。
〈●●(地名)で飲みますか!この間の。なら、安心かもです。どうでしょ〉
〈この間〉とは、その2日前にX子さんが編成幹部A氏に誘われて参加した中居の自宅でのバーベキューを指していた。第三者委の調査に対し、彼女はこう答えている。
〈直前、誰も集まらない、いい店がない、それならこの前みんなでバーベキューをしたところでごはんはどうですか?と仕事上付き合いのある芸能界の大御所からそういわれたら、今夜暇だと言ってしまった私は行かざるを得ない。(中略)断ったりしたら仕事に影響が出るのではないか〉
こうして向かった中居の自宅内でX子さんは性暴力を受けたのだ——。
〈(メールを)見たら削除して〉
中居とX子さんのパイプ役として奔走したのが、当時、編成幹部だったA氏である。中居とA氏は同世代だが、A氏は中居に常に気を遣い、その立ち居振る舞いはさながら“使用人”だ。
中居がA氏にトラブルの全容を報告したのは、事件から1カ月以上経過した同年7月12日のことだ。さらに翌日夜、中居とA氏はショートメールで以下のやりとりを行った。
〈(X子さんから)連絡があり、接触障害(摂食障害)と鬱で入院。やりたい仕事もできず、給料も減り、お金も無くあの日を悔やむばかりと。見たら削除して〉
証拠隠滅まで指示した中居に対し、軽い返答をしている。
〈なかなかですね、、私から無邪気なLINEしてみましょうか??〉
事態が深刻化する中で、中居はA氏にたびたび協力を要請していた。
食事会はセックスの話ばかり
同年11月10日、中居はX子さんの代理人弁護士からトラブルに関する内容証明郵便の書面を受領すると、A氏に〈緊急です。先方弁護士から、こちらの弁護士に訴え書が来ました〉と相談。A氏は中居の求めに応じ、担当していたバラエティ番組「ワイドナショー」にレギュラー出演する犬塚浩弁護士を引き合わせたのだ。
「犬塚弁護士は、港浩一前社長から“携帯弁護士”(携帯ですぐに相談できるの意)と呼ばれるほど、フジで重宝されていた。05年4月以降、フジと継続的業務委託契約が結ばれ、法律相談料が支払われている。だが、本来、フジは社員であるX子さんに対して雇用契約に基づく安全配慮義務を負っており、犬塚弁護士が中居さんの代理人に就くことは利益相反となる可能性があった」(フジ関係者)
調査報告書では次のように指摘されている。
〈CXが女性の対立当事者である中居氏サイドに立ったように見え、『女性よりも、中居氏を守る』との印象を与えている。(中略)弁護士を紹介した行為は女性に対する二次加害とも評価し得る〉
実は、X子さんは友人に対し、彼女を絶望に追いやった一風景について明かしていた。
「大物タレントと中居さんのいる“ハイアット会”や食事会は、いつもセックスの話が大半。『お前、手コキしたことないんか?』と聞かれたり、とても普通の会社ではありえない。事件直前のバーベキューでは、『勃起を違う言葉で言い換えて』という会話をしていた。あまりに卑猥で、記憶に残っている」
社内調査で一番問題視されたのは…
フジ幹部が言葉を続ける。
「事件当日に至るまで、X子さんと中居さんはA氏のセッティングにより複数回会っていますが、社内調査で一番問題視されたのは、グランドハイアット東京のスイートルームで行われた部屋飲みでした」
21年、A氏は中居と大物タレントを交え、食事会を開いた。大物タレントが「最近仕事に対するモチベーションが上がらない。コロナであまり飲みに行けていないため、楽しい飲み会がしたい」と発言し、ハイアットのスイートルームで飲み会を開くことを提案。すると、中居が「女性参加者は女性アナウンサー中心が良い」と口にする。2人との仕事を円滑に進めたいA氏は部下にも命じ、女性アナの確保に精を出した。
1人ずつの女性アナが配置される構図
その後、A氏は会食場所がスイートルームであることを隠し、X子さんを勧誘。当日は、他に3人のアナウンサーが参加した。
夜9時半頃、X子さんは帰宅したが、その後、第三者委が「ハラスメント」と認定する出来事が起こる。中居の求めに応じ、A氏ら男性スタッフは一度退室。部屋には中居と大物タレントに、それぞれ1人ずつの女性アナが配置される構図になったのだ。中居は20代の女性アナの膝、肩、鎖骨付近に手を触れ、彼女の顔に自身の顔を接近させる。彼女は中居の機嫌を損ねないように身体を離すなどしながら会話を続け、その場をやり過ごしたという。
中居は曖昧な回答に終始
第三者委の調査に対し、中居は「記憶が薄い」と曖昧な回答に終始。その結果、調査報告書では〈意に反する性的な言動であることから『セクシュアルハラスメント』と認められる〉と結論付けられている。
〈この状況は、A氏は残った女性2名を部屋に「置き去り」にしたと評価できる。(中略)アナウンサーらを危険から守ることよりも、タレントU氏及び中居氏への配慮を優先させるA氏の思考パターンを表している〉(調査報告書)
さらに——。第三者委の調査の結果、A氏が38万1365円を番組のロケ等施設使用料の名目でフジに立替請求し、経費計上していたことが発覚した。A氏を知る制作スタッフからは、こんな恨み節も聞かれる。
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第三者委員会の調査の結果、明るみになった実態。A氏を知る制作スタッフが週刊文春に語ったこととは……。
〈 下ネタを展開し、身体を触る、キスを迫り、中居正広や“大物タレント”とのメールを消去…フジテレビ第三者委員会が認定した編成幹部A氏の“常習性” 〉へ続く
(「週刊文春」編集部/週刊文春 2025年4月10日号)