Sバンタム級に「倒せる選手はいない」 タパレス母国識者が語った井上尚弥の「真価が試される」時とは?

2024年1月22日(月)7時0分 ココカラネクスト

タパレスも猛攻で打ち砕いた井上。強固なブロックを固めた相手を破った“怪物”に限界はあるのだろうか。(C)Getty Images

 井上尚弥(大橋)が史上2人目の2階級での4団体統一を果たしたマーロン・タパレス(フィリピン)との決戦。世界が「モンスター」と感嘆したパフォーマンスは、いまだ色褪せない。

 井上が「当てづらかった」と振り返ったタパレスの守備とカウンターを狙った駆け引きは見事だった。しかし、4回にダウンを奪った日本人チャンプは攻勢を強め続け、10回に「本当に身体が動かなかった」と言わせる強烈な右ストレートを炸裂。激闘を制していた。

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 タパレス撃破でプロキャリアの成績を26戦無敗23KOとした井上。群雄割拠のボクシング界で図抜けた強さを誇る怪物に衰えはいまだ見えない。少なくともスーパーバンタム級においては、「敵なし」と言っても過言ではないはずだ。

 井上の圧倒的な戦績は、タパレスの母国でも反響が広まり続けている。フィリピン放送局『ABS-CBN』でアナリストを務めるエド・トレンティーノ氏は、ニュース局『CNN』で「イノウエはとてつもないパンチ力とリング上での支配力を誇っている。彼の成長はまだまだ終わっていない」と絶賛。「彼は史上最高のパウンド・フォー・パウンダーの一人であり、日本にとって彼は本当に宝石のような存在だと言える」とした。

 タパレス戦後のリング上で井上は「今の適正階級はスーパーバンタム級だと思っているので、来年、再来年とまたこの階級でもっと強い姿を見せられるように精進していきたい」と明言。手にした4本のベルトを保持していく意向を示した。

 そんな井上が今後に対戦する可能性があるのは、元世界2階級王者ルイス・ネリ(メキシコ)や、前WBAスーパー、IBF世界同級王者ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)といった名手たちだ。

 しかし、トレンティーノ氏は「今の階級で彼を倒せる選手はいない」と断言。いずれも、文字通り無敵を誇る井上には及ばないとした。

「いま、次期対戦者としてWBC1位のルイス・ネリが戦う可能性がある。彼にもパンチ力があるが、イノウエを越えることはできないだろう。WBA1位のアフマダリエフも元オリンピック戦士で、良い戦士だが、すでにタパレスに負けていて、勝つ可能性は低い。

 IBFとWBOの1位であるサム・グッドマン(豪州)はパンチ力が貧弱で、到底勝てるとは思えない。彼らはいずれも砂漠に放置されたアイスクリームのように溶けてなくなってしまうよ。イノウエのパンチ力はそれほど凄まじいんだ」

 フィリピン人ではWBO3位につけるジョン・リエル・カシメロ(フィリピン)が対戦の可能性を残しているが、トレンティーノ氏は「彼も経験は豊富だが、イノウエは倒せない」と強調。そして、井上の今後の課題を論じた。

「イノウエの課題は体重を上げた時に、より重く、リーチや身長差も出てくるボクサーと対戦することだ。そこが彼の真価が試される時だ。今のところは階級上げも上手くいっているが、さらに階級を上げるとなると、自分の体重をさらに増える。そこで彼は順応するのに苦労するかもしれない」

 ここまで4階級を敵なしで駆け上がってきた井上。プレッシャーも増すなかで、彼の快進撃はどこまで続くのだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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