レッドブルのマルコが語る、角田裕毅に求める役割とローソンの将来。焦点はフェルスタッペンのタイトル
2025年3月30日(日)7時15分 AUTOSPORT web

レッドブルは、わずか2戦でリアム・ローソンを外すという決定の後、世間全般からの大きな反発に直面している。チームがダメージを最小限に抑えるため、モータースポーツコンサルタントのヘルムート・マルコがメディアへの対応をし始めた。
角田裕毅がレッドブルに起用されることについては、疑問を呈している者はいない。むしろ、多くの人々が、シーズンの最初から角田がマックス・フェルスタッペンのチームメイトに起用されるべきだったと考えている。批判の対象になっているのは、いったん若きローソンを起用しながら、わずか2戦で降ろした、そのチームの決断である。ローソンがこれまでレースをしたことがなかったサーキットでのグランプリを2回終えて、経験ある鈴鹿でのレースを前に彼を外したことについて、ドライバー、解説者、他チームの関係者、そしてファンにいたるまで、大勢の人々がレッドブルを批判している。
レッドブルが所有するウェブサイト『Speedweek.com』に自身の定期コラムを持つマルコは、そのコラムを通じて次のようにコメントした。
「リアムが完全に自信を失ってしまう前に、我々は行動を起こさなければならなかった。ローソンはポジションを変更されたが、それは決して珍しいことではない。我々は以前にもピエール・ガスリーとアレクサンダー・アルボンに対して、同じことを行った。そして、彼らはF1において成功したキャリアを築き、いまも安定した評価を確立したドライバーだ」
確かにそのとおりだが、ガスリーとアルボンが評価を確立したのは、レッドブル・レーシングを離れてからのことであり、現在はレッドブルとは無関係だ。
ローソンのレッドブル起用について、マルコは「今、振り返れば、我々は間違いを犯したと言えるだろう」と認めた。
「今になって大勢の知ったかぶりが、『なぜ最初から角田を優先しなかったのか?』という疑問を投げかけるだろう。それは、裕毅のキャリアには浮き沈みが多く、信頼性と安定感があるというイメージが必ずしもなかったからだ」
だがマルコは今では、角田に変化を感じているという。
「彼は非常に良いレースを2回走った。マネジメントを変更し、非常に成熟した。角田はいまや本物のマッスルマンであり、以前よりもはるかに強い個性と自信を持っている」
マルコはチームが角田に求める役割は、フェルスタッペンの優勝とタイトル争いを助けることであると述べた。
「コンストラクターズ選手権のためには、ドライバーふたりが(ポイントを獲ることが)必要だ」と述べるマルコだが、彼の焦点は、フェルスタッペンのドライバーズタイトルにあるように思われる。マルコは、セカンドカーの役割は「戦略的にマックスを支援すること」にあると明言。そして「トップ5またはトップ8にふたりのドライバーがいれば、ナンバー1ドライバーを有利にするための戦略を立てやすくなる」とも説明した。
マルコはラジオでのインタビューにおいて、角田を今シーズン末までレッドブル・レーシングで走らせるつもりだと保証した。ただ、念頭に置くべきなのは、昨年のクリスチャン・ホーナー代表との内部抗争で敗れて以来、マルコは、2チームの運営における権限を完全に失っているということだ。今、すべての決定を下しているのは、マルコではなく、ホーナーなのである。