レッドブル・ホンダ密着:難しい路面でミスを最小限に抑えたフェルスタッペン。課題のスタートも車体とPUの協力で克服
2021年4月19日(月)14時45分 AUTOSPORT web

スタートの約1時間前に雨が降り出したイモラ・サーキット。2021年F1第2戦エミリア・ロマーニャGPは、ピットガレージを出て、ダミーグリッドに着くためのレコノサンスラップからコースオフするマシンが出るほど、難しいコンディションだった。
そんななか、予選3番手からスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)が優勝したのはスタート直後の逆転劇と、難しいコンディションのなかでミスを最小限にとどめたことだった。
全車、インターミディエイトタイヤまたはウエットタイヤを履いてのスタートとなったエミリア・ロマーニャGP。ウエットスタートは昨年の第14戦トルコGP以来だった。そのトルコGPではレッドブル・ホンダはスタートで大きく出遅れ、濡れた路面でのスタートに課題を残していた。
しかし、クリスチャン・ホーナー代表が「ホンダは冬のあいだに素晴らしい仕事をして、その課題を克服していた」と言う今年のホンダのスタートは格段に向上していた。
3番グリッドから水しぶきをあげながらスタートしたフェルスタッペンは素晴らしい飛び出しを見せ、最初のブレーキングポイントとなる2コーナーのタンブレロに、ポールポジションのルイス・ハミルトン(メルセデス)とサイド・バイ・サイドで進入していく。
「僕たちはスタートの蹴り出しがとても良かった。昨年はウエットでのスタートが常に難しかったから自分でも驚いたよ。でも、ホンダをはじめチームはそれを克服するために頑張ったし、うまくいった。いずれにしても、あれがレースの重要な鍵になったのは間違いない」(フェルスタッペン)
ホンダの田辺豊治F1テクニカルディレクターもこう説明する。
「スタートに関しては、昨年からチームと設定を検討してきました。現在のF1マシンのスタートは非常に複雑で、エンジン側のトルクの出し方だけでなく、車体側のクラッチコントロールだったり、エンジン側だけでなく、車体側とも協力して改善しなければならない領域なので、チームと一緒に開発を続けてきました」
「その開発をした結果が今日のスタートで証明できた。マックス選手がポールポジションのハミルトン選手をパスできたことは非常に良かったと思っていますし、頑張って開発してきてよかったと思います」
この日のもうひとつの勝因は、多くのドライバーがミスを犯す難しい路面コンディションのなかで、フェルスタッペンがミスを最小限にとどめたからだ。
この日のイモラは、7冠王者のハミルトンや元王者のフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)やキミ・ライコネン(アルファロメオ)もミスを犯すほど難しいコンディションが続いた。フェルスタッペンもミスは犯した。しかし、ほかのどのドライバーよりも傷口は小さかった。
「再スタートのとき、タイヤを温めようとスロットルを開けたときにリヤがスライドしてヒヤッとする瞬間があったけど、スピンしなかったのはラッキーだった」というフェルスタッペンはトップのまま再スタートを切ることができ、その後は終始トップをキープして、最後は2位以下に20秒以上のリードを保ったままチェッカーフラッグ。今季初勝利を挙げた。
これでドライバーズ選手権はトップのハミルトンの44点に対して、フェルスタッペンが43点と1点差に縮めた。コンストラクターズ選手権もメルセデスの60点に対して、レッドブル・ホンダは53点。レッドブル・ホンダとして、シーズン2戦目での勝利はこれまで3年間で最速。イモラでの勝利は、打倒メルセデスのシーズン幕開けとなるレッドブル・ホンダにとって価値のある1勝となった。