1日に抹消のDeNA・筒香 「逆方向に分厚い打球」をテーマに数日は試合に出ず調整へ
2025年5月2日(金)13時3分 スポーツニッポン
DeNAの2軍練習施設「DOCK」、2日午前10時。
「おいヨシトモっ、ちょっと来い」と横浜高校の先輩、鈴木尚典野手コーチが呼ぶと、筒香が「はいっ」と小走りでコーチの下に走り寄る。「あれ?お前、ここで何してんの?」と同じく同校の先輩、片平保彦同施設スタッフが話しかけると「何すか、もう」と筒香が笑顔を見せる。「筒香」を「筒香扱い」しないDOCKの自然体の雰囲気が、スラッガーに落ち着きを与えていた。
5月1日に大砲は出場選手登録を抹消された。不振での抹消は、日本復帰前の13年8月以来だった。今季ここまで19試合、打率.115、1本塁打、2打点、17三振。「横浜の空高くホームランをかっ飛ばす」ことを期待されている男には、辛い数字だ。
「ネタを探しに来ましたね」とニヤリと笑った背番号25が切り出す。「チームにも全く貢献できていないし、本当によくなかった。(三浦)監督から“しっかり状態を上げて早く戻ってこい”と言われたので、それに応えないといけない」
焦りはあるのか?の問いには即答だった。「ゆっくりするつもりはない」。打たなければ批判の声があがる。だが打てば、ファンも関係者も「やはり筒香が打てば盛り上がる」となる。そのプレッシャーとの戦いを「日常」としてきただけに、大観衆の前に戻るまで、仕切り直しでじっくり鍛え直すつもりも毛頭ない。
抹消前、当然自身に示されたデータとも向き合った。そしてその数字も素直に受け入れた。「もうちょっとでいける、は開幕前からずっと続いていたんです。でもミスショットも、打球が野手の正面にいくのも理由がある。やはりその辺をしっかりして、もうちょっとパチっといけるように、ですね」と熱弁した。
きょう2日もイースタン・リーグ日本ハム戦(横須賀)が開催される。だが筒香は数日は、試合に出場せず自身の感覚を研ぎ澄ます予定だ。
三浦監督は言った。「優勝には必要な選手」。記者のその問いかけにはうなづいたが、やりとりはすぐ打撃論に戻る。「やはりストレートも弾けていない。かといって、同時に変化球も全部打てていない。練習のときに、自分のポイントで逆方向に分厚い打球がでるという形ができると、ストレートも変化球もいけると思う。だから反対方向をきっちりとやる」。
己の弱点を認識し、それに立ち向かう。それは大砲が向きあってきた戦い。そこにマイナス思考も、忸怩(じくじ)もない。ただ前を向く。優しく迎えてくれるDOCKの仲間への感謝も込め、筒香はバットを振り続ける。
(大木 穂高)