「いいか? 入ってきたところに左フックだ」――井上尚弥の衝撃ダウンは策略通り 明らかになったカルデナス陣営の“怪物対策”

2025年5月8日(木)11時0分 ココカラネクスト

井上が崩れたダウンシーンは世界を驚かせた。(C)Getty Images

 世界を驚かせた衝撃のダウンは“狙い通り”のものだった。

 現地時間5月4日に行われたボクシングのスーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)とのタイトルマッチで、8回45秒TKOで敗れたWBA同級1位の挑戦者であるラモン・カルデナス(米国)は、8日(現地時間)に自身のYouTubeチャンネル『Dinamita Cardenas』を更新。そこで2回に奪ったダウンが意図していたパンチだったことが明らかになった。

【動画】世界が騒然となった井上尚弥のダウン カルデナスの渾身フックをチェック

 会場がどよめく一撃だった。

 互いに打ち合いの様相を呈し始めた2回だ。カルデナスは、井上が放った左フックをスッと体勢を低くして交わすと、すかさず左フックを炸裂。これが見事にモンスターの顔面を捉え、ダウンを奪ったのである。

 刹那の出来事で繰り出されたパンチを受けた井上が力なく倒れ、米ラスベガスのT-モバイルアリーナは騒然となった。

 試合後に米メディア『Fight Hub TV』で「パンチを打ったら、観客から叫び声が上がっていたから振り返ったら、イノウエが倒れているのが見えたんだ。説明が難しんだけど、ホームランを打つ時も『感触がない』みたいに言うでしょ? そんな感触だった」と回想していたカルデナス。しかし、その世界を大いに沸かせた渾身の左フックは、陣営とともに練っていた作戦の一つであった。

 この度、公開されたYouTubeチャンネル『Dinamita Cardenas』の動画内で試合前に、陣営の参謀役で、トレーナーを務めるジョエル・ディアス氏は、カルナデスに対して「覚えておけ、ミスは許されないぞ」と発破。そして「一番注意しなきゃいけないのは、イノウエのタイミングだ。インとアウトの動きを繰り返してくる。あいつがKOを繰り返しているのは“完璧なタイミング”を取れているからだ。パワーじゃない」と強調し、こう指示した。

「フェイントを使ってタイミングをずらせ。それでパンチのタイミングを悟らせるな。ビビらずに初回から行くぞ。あとは常にアゴは下げて、しっかりブロックを固めておくんだ。腕を打たせても、ガードは緩めるな。とにかく打たせる隙を与えるな。

 もし、パンチが当たらないと思ったら、ガードを固めて、距離を詰めて行け。それでガードの上から打たせて、打たせた瞬間にカウンターを狙え。お前のパワーを教えてやれ。いいか? ジャブで触って誘い出せ。向こうが右から狙ってきたら、入ってきたところに左フックだ」

 最後に「一瞬も気を抜く暇はないからな」とカルナデスを送り出したディアス氏。あのダウンは、熟考を重ねて見出した“井上分析”がハマった形と言える。一方で相手の対策を最後には凌駕し、TKO勝ちをもぎ取った井上も見事と言えよう。

 ディアス氏は、今年9月に井上の対戦相手となっているWBA暫定王者ムロジョン・“MJ”・アフマダリエフ(ウズベキスタン)のトレーナーでもある。それだけにカルナデスを変化させた分析力は少々不気味だ。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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