【津川哲夫の私的F1メカ】注目されるフロントタイヤ後端の空力。規定の解釈が難しいカモメ・ウイング&カナード

2018年6月29日(金)14時47分 AUTOSPORT web

 スペインGP後のこのコラムで、レッドブルRB14のカモメ・カナードのスリットについて言及したが、あの時点ではまだ細かなレギュレーションが把握できない状況だったので、下部の形状が確認できずに、推測で空力的効果を考えていた。当然、チーム側はレギュレーションを踏まえて制作しているわけだが、今回のフランスGPでは堂々と車検のボスと実車を見ながら説明を受けることができた。


 車検のボスはまずはフロアフロント・バージボードエリアは未だにエアロの宝庫、開発すればするほど効果を見い出せる部分だと言う。そのため、チーム側からはほぼ毎レース、大小さまざまな変更が加えられ、一度として同じものが走ったことはないのだそうだ。


 そして、フロアフロントの空間はバージボードと言う名のもとに、ほとんどフロント部へのフロアの大幅なエクステンダー(拡大増量材)であり、しかもそこに、数え切れない程の多くのスリットが切り込まれている。もちろん、このスリットの多くが空気流を床下へ引き込むものだ。


 ドラッグの減少、床下流の確保、ポッドサイドへのフローマネージメント……さまざまな効果が想像されるが、レギュレーションの視点からは、そのバージボードフロアの上部は床下から見た場合、真上に遮るものがあってはならず、したがって、切り欠きを入れれば床下から空が見えなければいけないのだという。


 つまり、レギュレーションをクリアするためには、スリットの空間わずか数ミリ単位の切り欠きを覆う部分に、同じように切り欠きを入れて空が見えるように隙間を作らなければいけなくなる。だが、どういう事か、フランスGPでのザウバーのカモメ・ウイングと床のスリットを見ても、空が見えるような隙間はなさそうである。


 このザウバーの件、車検の親玉は「この切り欠きは遵法だけど、もしも剛性不足で壊れたりしたら禁止にするよ」と言っとりました。


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