EWCフル参戦2年目。SST王座を狙うTeam Étoileの挑戦と意気込み

2025年4月2日(水)7時37分 AUTOSPORT web


 2024年からFIM世界耐久選手権(EWC)に新規チームとしてフル参戦を開始したTeam Étoile(チームエトワール)。代表の市川貴志氏の情熱が形になったとも言えるチームは、中核となるメンバーを集め、前年から準備をしてきたが、初戦から予定通りに事は進まなかった。



 EWCの経験も豊富でチームを引っ張る存在となるはずの渡辺一樹が直前に行われた全日本ロードレース選手権の開幕戦鈴鹿2&4レースで転倒し負傷してしまう。代役に榎戸育寛を起用するが、初戦のル・マン24時間は、夜中の気温が下がったときに初参戦の亀井雄大が2度の転倒を喫しリタイアとなってしまってしまう洗礼を受ける。2戦目のスパ8時間では、SSTクラスのポールポジションを獲得し、序盤はSSTクラスのトップ争いを繰り広げるが、ガス欠でタイムロス。それでも追い上げ6位で初完走を果たした。


 続く、鈴鹿8耐では、ロベルト・ロルフォを起用。ベテランらしい安定したライディングを見せた。決勝でも大久保光、亀井とのトリオでSSTクラス3番手を走行。亀井の頑張りで最終ラップに入るホームストレートでライバルを抜き2位フィニッシュ。見事表彰台を獲得し、暫定ランキング4位に浮上。ライバルの結果次第では、シリーズチャンピオンの可能性を残し最終戦ボルードール24時間を迎えていた。


 その可能性を引き寄せるように最終戦ボルドール24時間では、ライバルの脱落を尻目にクラス優勝、そしてチャンピオンを獲得するポジションを走っていた。しかし、残り5時間を切ったところでマシントラブルが発生してしまいリタイアとなってしまう。


 参戦初年度にしては、よくやったという部分と、もっとできたはずだという部分があったと言えるだろう。この経験から課題は明らかになり、2年目の2025年シーズンは、SSTクラスチャンピオンを目標に戦う。



Team Étoileの2025もてぎテスト

 市川代表は「去年は右も左も分からずゼロからスタートだったのですが、今年は、全体の流れがイメージできる中での2年目なので仕事の進めやすさはレベルアップできると思います。レースのリザルトに関しては、長時間のレースは“運”が絡んで来たりしますが、2年目だからと気を抜くことなく、しっかり準備を進めて行きます。昨年は、最終戦ボルドール24時間でクラス優勝を獲ることができればシリーズチャンピオンが見える状況まで行けたので、今年は、ふたつの24時間耐久をしっかり完走することができれば、シリーズランキング上でも結果がついてくると思うので、SSTクラスのシリーズチャンピオンを2年目で目指します」と意気込んだ。


 ライダーには、大久保光と渡辺一樹という主軸となる2名を継続、若手枠で伊藤元治、第4ライダーとして奥田教介を起用することになった。


「若手に機会を与えるということもチームのビジョンのひとつなので、今年は若手枠ということで伊藤元治選手を起用しました。伊藤選手は、昨年からチームに合流し、裏方として手伝ってくれましたし、将来海外で活動するために英語の勉強もしているなど、ライディング面以外の部分で努力を積み重ねて来ていることも評価しています。EWCを走ることで、ライダーとしてさらに成長してくれればいいと思っています」(市川代表)


 2月には、モビリティリゾートもてぎでル・マン24時間の夜間走行を想定し敢えて寒い環境でのテストを行い、4人のライダーが走行した。


「予想していたよりも路面温度が高かったのですが、概ねいいテストができました。ル・マンは、昨年、残念ながら完走できませんでしたが、寒いコンディションにライダーが慣れることで完走する確率を高められることができたと思っています」(市川代表)



伊藤元治(Team Étoile)

 この、もてぎテストで初めてBWM M1000RRをライディングした伊藤は、全日本ロードST1000クラスにもMOTOBUM HONDAから継続参戦する。


「世界的に見て外車が日本車より優勢なので、BMWもどんなバイクなのか気になっていました。実際に乗らせてもらって、いい部分がたくさんあることが分かりました。ライディング面でも生かせることなので、レーシングライダーとして、さらに成長できる要素もあると思いました。初年度からチームの一員として加わらせていただき、一緒に挑戦し、経験を積んだ上での2年目となります。まだ24時間のレースでは完走ができていないので、開幕戦であるル・マン24時間でチェッカーを受けることに貢献したいですね」と伊藤。



大久保光(Team Étoile)

 大久保は、昨年、全戦を走りチームを牽引。もてぎテストでもベストタイムをマークしていた。


「今年の第一の目標としては、24時間のレースをしっかり完走して結果を残すことです。それができればSSTクラスのタイトルを十分獲れると思います。そのためにも、まずは開幕戦ル・マンをチーム一丸となって戦いたいですね。もてぎでは、タイヤテストを中心に走らせてもらったのですが、思っていたよりも気温が高く想定したコンディションではなかったのですがタイヤの違いは把握できましたし、ル・マンテストに向けてデータを取ることができたので、良いテストになりました。もてぎで1000ccを走らせるのが2回目だったので、まだ走り慣れていない部分もありましたが、良いフィーリングで走ることができました」と大久保。SSTクラスのタイトルは射程圏内だと語った。



渡辺一樹(Team Étoile)

 大久保と共にチームの中心的存在となっているのが渡辺だ。


「去年はチーム立ち上げから加わっていたにも関わらず、2レースしか出られない中途半端なシーズンになってしまいました。その中でもみんなの頑張りのおかげでチャンピオン争いができましたし、その分も今シーズンはチームに貢献したいと思っています。開幕戦のル・マンからフルメンバーでしっかりレースをしてチャンピオンを獲るためにやれることをすべてやる覚悟です。初戦から表彰台争いをするほど完成度の高いチームなので、昨年の経験を活かし、さらにレベルを上げて最終戦ボルドールまで戦えるように持っていきたいですね」と意気込みを語った。



奥田教介(Team Étoile)

 そして第4ライダーに選ばれた奥田は、昨年、ル・マン24時間をライダーとして走っており、スパとボルドールは、スタッフとして同行していた。


「この春に、ようやく大学を卒業できたので、今まで以上にレースに打ち込める環境になります。バイクに乗るトレーニングを増やしてペースを上げて行けるようにしてチームに貢献できるように準備をしてきました。2年目ですし、マシンに対する理解度は進んでいます。チームのメンバーもほぼ変わっていないのですし一樹さんと一緒に走るのは、初めてなので近くで学ばせてもらおうと思っています」と渡辺と走ることを楽しみにしている。


 市川代表を始め中心となるチームスタッフは、一足早く渡仏。ライダーたちも現地入りし、4月1〜2日に行われるル・マンでのオフィシャルテストに参加。4月19〜20日に行われるル・マン24時間決勝に向けて、いよいよ本格的に動き出す。ル・マン24時間で結果を残し、目標であるSSTクラスチャンピオン獲得に向けて好スタートを切りたいところだ。

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