阪神・小幡の美技がチーム救った「入ってくれて良かった」“一歩目”にこだわった練習が実を結んだ
2025年4月27日(日)5時15分 スポーツニッポン
◇セ・リーグ 阪神6—2巨人(2025年4月26日 甲子園)
悲鳴が一瞬にして、歓声に変わった。前進守備シフトを敷いていた阪神・小幡の“神キャッチ”がチームの窮地を救った。今季初6連勝に大きく貢献するビッグプレーだった。
「反応です。(グラブに)入ってくれた」
2—2で迎えた8回1死満塁だ。キャベッジが放った痛烈な鋭い打球は一直線に左中間へ抜けていくかに見えた。誰もが巨人の勝ち越しを覚悟した瞬間。三遊間で身長1メートル84、78キロの背番号38が舞った。ダイビングキャッチによる好捕で流れを引き渡さなかった。
「(打球は)引っ張りの傾向の方が強いイメージだったので少し(二遊間に)寄っていた中でしたけど、本当に入ってくれて良かったなと」
一歩目にこだわりを持つからこそ、この“超反応”キャッチが生まれた。フリー打撃中、遊撃のポジションに就く際は、自らの守備範囲外へ飛んだ打球でも数歩、スタートを切る。「守備は当たった瞬間の動き出しがすべて。そこで遅れたら打球に刺されるので」。スーパーキャッチに小幡は「入った」と謙遜(けんそん)したが、普段の練習から体に染みこませてきた一歩目への意識があったからこそ、ジャンプ一番で打球に届いた。
打撃でも魅せた。7回1死一塁では遊撃内野安打を放ち、5—2となった8回1死二、三塁ではダメ押しの中犠飛。「小谷野(打撃チーフ)コーチとも話して、もう一回シンプルにタイミングを意識していこうと」。取り組みが奏功した。
藤川監督は「(将来へ向けた)扉が開いてくると思う。素晴らしい一日になった」と称えた。つかめそうで、つかめなかった遊撃の定位置。高卒7年目の今季こそ、その座をつかむ。(松本 航亮)