開幕戦3台マルチクラッシュの修復状況と第2戦富士でのGT500クラス注目ポイント【第2戦プレビュー】

2025年5月2日(金)18時27分 AUTOSPORT web


 今週末に開催されるスーパーGT第2戦富士、開幕戦の岡山のGT500クラスではGRスープラ勢が表彰台を独占するという結果になったが、果たして富士ではライバル勢の逆襲はあるのだろうか。


︎クラッシュしてしまった3台のモノコック、エンジン事情


 今回の有力候補を挙げる前に、まずは前回の岡山のスタート直後のマルチクラッシュで大きな損害を受けた3台のマシンの状況についてお伝えしたい。クラッシュの発端となった38号車KeePer CERUMO GR Supraは、外板のエアロ、そしてリヤ部が大きく破損してしまった。




クラッシュしたKeePer CERUMO GR Supra/2025スーパーGT第1戦岡山

「フロントはそこまで壊れていませんでしたけど、リヤカウル、リヤウイング、アンダーフロア、ディフューザー、あとは右側の足回りも全部交換しました。モノコックは検査に出しまして、1週間くらい時間はかかりましたが大丈夫でした。他の大きなパーツもCTスキャンなどでチェックして大丈夫だったのですが、検査に時間がかかりましたね。モノコックを変えるということにならなくてよかったです」と話すのはチームセルモの村田淳一取締役。


 同じくマルチクラッシュに遭った16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GTも、モノコック本体とエンジン本体は無事とのことだが、「右側のクラッシャブルストラクシャーが破損していたので交換しました。外板のエアロと右の足回り、サスペンションも交換しています」と、杉崎公俊エンジニア。車体右側がぶつかってしまったため、損傷部も右側が中心になった。


 3台目の12号車TRS IMPUL with SDG Zもモノコック、エンジンは無事だったが、サスペンション、そしてエキゾーストは交換となってしまった。


「右前のアームがちぎれてアッパーアームとロワアームがプラプラしている状態で、プッシュロッドも曲がってましたね。冷却系、右のラテラルダクトも壊れていて、エンジン本体は大丈夫でしたけどエキゾーストはアームに押されて曲がってしまっていて、すべて交換しました」と話すのは本田醇チーフメカニック。


 ひとまず、3台ともドライバーもクルマも最悪の事態にはならずに第2戦を迎えることができて何よりだが、いかんせん、開幕戦から今回の第2戦まで中2週間しか時間がなかったため、修復作業は簡単ではなかった模様。どのチームもマシンが組み上がったのがこの富士の開催週の月〜水という直前になり、あとは実際に走ってみてどうなるか、という状況のようだ。



ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT #16(大津弘樹/佐藤蓮)/2025スーパーGT第2戦富士

︎ライバル陣営が衝撃を受けたタイヤメーカー。今回の優勝候補は?


 今回の富士を占う上で、もうひとつ前回の岡山のパドック内での話題を紹介したい。それは、ヨコハマタイヤ勢の躍進だ。予選Q2に2台とも進出し、レースでもドライコンディションとなったレース終盤は着実に順位を上げるパフォーマンスを見せた。レース後、ライバルでもあるダンロップタイヤを装着する64号車Modulo CIVIC TYPE R-GTの伊沢拓也が「今回、ヨコハマ勢のパフォーマンスは衝撃的でした」と、素直にライバルの速さを讃えた姿が印象的だった。


 今回の富士はヨコハマ勢にとって岡山よりも得意なコースになるだけに、19号車WedsSport ADVAN GR Supra、24号車リアライズコーポレーションADVAN Zの2台は予選、そして決勝ともに目が離せない存在になるかもしれない。


 また、今回の富士はストレートの速さに強みがあるホンダ・シビック勢、ニッサンZ勢が有力とみられているが、事前の公式テストでは1号車au TOM’S GR Supraもドライセッションでトップタイムをマークしており、前回優勝で今回はサクセスウエイト40kgともっとも重い状態となるなか、どのようなパフォーマンスを見せるのかが注目される。


 もし1号車au TOM’Sが上位に来るような展開になれば、今季のチャンピオン争いは完全に1号車中心となるため、ホンダ、ニッサン陣営としてはまだシーズン2戦目ながらも、なんとしても1号車の独走を止めたいところだ。


 また、今回は3時間レースで2度の給油を伴うピットストップが義務付けられており、レース戦略も大きなポイントになる。基本3スティントのレース戦略でどちらのドライバーが2スティントを担当するのか。そしてダブルスティントを選ぶのか、それとも乗り替わりで1、3スティントを担当するのか。レース展開やライバルチームとの駆け引き、タイヤのデグラデーション(性能劣化)など臨機応変のチーム力が問われることになる。


 以上のようにサーキット特性、そしてサクセスウエイトなどを考慮して、今回の優勝候補は16号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT、8号車ARTA MUGEN CIVIC TYPE R-GT、17号車Astemo CIVIC TYPE R-GT、23号車MOTUL AUTECH Z、3号車Niterra MOTUL Z、そして19号車WedsSport ADVAN GR Supra、24号車リアライズコーポレーションADVAN Zなどが挙げられるが、3時間の長丁場レースだけに、大荒れの可能性もありそうだ。

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