脇役の琴桜…先代が天国で泣いているぞ…元大関・琴風の目
2025年5月23日(金)5時40分 スポーツ報知
大の里(左)がはたき込みで伯桜鵬を下す
◆大相撲 ▽夏場所12日目(22日、東京・両国国技館)
初の綱取りに挑む大関・大の里が4度目の優勝に王手をかけた。初顔合わせの東前頭7枚目・伯桜鵬をはたき込み、初日からの連勝を自己最長の12に伸ばした。唯一の2敗だった横綱・豊昇龍が霧島に敗れたため、13日目に大関・琴桜に勝てば2場所連続優勝が決まる。優勝すれば、師匠で2017年に昇進した横綱・稀勢の里(現二所ノ関親方)以来、8年ぶりの日本出身横綱誕生が確実となる。
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余裕の大の里だ。立ち合いはもろ手で突いて、すぐに首根っこを押さえてはたき込んだ。踏み込みがいいから後ろにも土俵が残っていた。体も楽に開くことができた。私がよく言う“毒まんじゅう”ではない。ミシュラン級の“高級まんじゅう”のはたきだ。優勝そして綱へマジック1。無双状態の大の里を誰も止めることはできないだろう。
13日目は大関同士の一番。今場所の琴桜はまさに脇役。12日目でやっと勝ち越しを決めた。前に出る圧力が欠如し、相手に与える怖さがまったくない。悔しいだろう。悔しいと思っていないのなら、横綱には絶対になれないし、大関からすぐに落ちるだろう。失った存在感とプライドを取り戻す戦いになる。前に出る力の勝負を見せてほしい。
空を見上げてみろ。先代(元横綱・琴桜)が天国で泣いているぞ。死ぬ気で土俵に上がれ。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)