横浜FMに残留の希望は?酷似する2022神戸と徹底比較【J1リーグ2025】
2025年5月26日(月)14時0分 FOOTBALL TRIBE

5月24日〜25日に第18節が開催された2025明治安田J1リーグ。前節終了時点までわずか1勝のみで最下位に沈む横浜F・マリノスは、ホームに首位鹿島アントラーズを迎えた。
「直近7連敗中の横浜FM対7連勝中の鹿島」という真逆の状況に置かれるチームがぶつかった今節、序盤からゲームを動かしたのは横浜FMだった。開始早々DF永戸勝也がこぼれ球をダイレクトに蹴り込み先制点を挙げると、その後もFWヤン・マテウスが立て続けに2点を挙げ前半30分までに3点のリードを奪う。前半のうちに鹿島に1点を返されるも以降は得点を許さず、実に12試合ぶりとなる勝利を収めた。
首位を打ち破った横浜FMだが、残留圏である17位との勝ち点差は「8」と開きがあり未だ窮地に立たされていることに変わりはない。しかし、過去には今季の横浜FM同様の状況から残留に成功したクラブもある。ここでは、2022シーズンのヴィッセル神戸を例に、現状との共通点や横浜FMが残留のためにクリアすべき課題について見ていく。

横浜FMと神戸、4つの類似点
まずは現時点での横浜FMと2022シーズン神戸の共通点を4つ挙げておこう。ひとつ目は17試合を消化した時点での勝ち点だ。現在の横浜FMは2勝5分10敗で勝ち点は「11」だが、当時の神戸も17試合を消化した時点ではまったく同じ戦績および勝ち点で状況は酷似していると言えよう。
次に挙げるのは得失点差の類似点。ここまでの横浜FMは得点15の失点26で得失点差は-11。一方で当時の神戸は得点15の失点25で得失点差-10となっており、やや横浜FMの方が悪いもののほぼ似た数字となっている。
3つ目は早々に監督交代へと踏み切った点。2022シーズンの神戸は三浦淳寛監督が指揮を執っていたが、開幕から7戦未勝利となった時点で退任。その後の2試合をリュイス・プラナグマ氏が暫定的に指揮し、以降は過去にセレッソ大阪や清水エスパルスを率いたミゲル・アンヘル・ロティーナ氏を経て現在もチームを率いる吉田孝行監督へと移り変わった。一方今季の横浜FMは、新指揮官のスティーブ・ホーランド監督で開幕を迎えたが、第12節終了後にヘッドコーチであったパトリック・キスノーボ氏へと交代している。神戸同様、今後さらなる監督交代が必要となってしまうのか引き続き注視していきたいポイントだ。また、偶然の一致ではあるが、ともに清水との試合を機にシーズン最初の監督交代が行われていることも言い添えておく。
最後に4つ目としてエースの不調が挙げられる。横浜FMといえば、2年連続得点王の実績が証明している通りFWアンデルソン・ロペスが絶対的なエース。今季も3年連続得点王という偉業の達成可否と新指揮官を迎えチームのさらなる躍進のキーマンとして注目されたのは言うまでもない。しかし、開幕戦でゴールを挙げたものの以降はここまで得点から遠ざかっている。当時の神戸も、今なおエースとして君臨するFW大迫勇也が得点源として期待されたが開幕から長く得点を挙げられず、シーズン初ゴールは第13節と今季のロペス同様苦しいシーズン前半戦となっていた。
もちろん対戦相手や日程的な違いから単純比較はできないが、置かれている状況が酷似しているのは確かだ。その上で、かつての神戸がこの苦境から最終的に勝ち点を40まで伸ばし残留を果たしたことは、横浜FMにとって大きな希望と言えるのではないだろうか。

残留に向けての課題とポイント
試合数の違いもあり比較は難しいものの、神戸の例を参考にすると残留に向けて勝ち点40が1つ指標となりそうだ。実際今季と同様に20チームでリーグ戦が行われた昨季も、17位で残留した柏レイソルの勝ち点は41。降格した中で最も勝ち点が多かったジュビロ磐田が38となっており、裏付けとなる数字でシーズンを終えている。その上で、横浜FMが目標の勝ち点40以上を目指すために何が必要なのか、ポイントを2点挙げたい。
まずは何よりエースの復調が求められる。チーム状況は異なるだろうが、2022シーズンの神戸ではエースである大迫が前半戦わずかに1ゴールで終えたものの、後半戦に入ると復調し3試合連続ゴールを含む6ゴールを挙げ最終7ゴールとチームトップスコアラーとなって残留に大きく貢献している。横浜FMに置き換えるならば、その大迫と2023シーズンに得点王を争ったロペスの復調は必須。たとえそれが叶わなくともFW植中朝日ら攻撃陣がロペスに代わる役割を果たせなければ残留は難しいと言えよう。
次に守備陣の補強も必要になるだろう。横浜FMは今冬、DF畠中槙之輔やDFエドゥアルドなど主力のセンターバックが複数移籍。一方でDFジェイソン・キニョーネスやDFトーマス・デンといった外国籍選手を加えたが、キニョーネスが第5節の川崎フロンターレ戦で負傷しキーマンを早々に欠いている。代わりにDF諏訪間幸誠という若手の出場機会が伸びていることはクラブの将来を考えると大きいが、やはり経験値と統率力に優れた即戦力が必要な状況なのは間違いない。幸い、今季は6月にも特別登録期間があることから早期の補強が可能。まずは守備を安定させるためにも、機会をうまく活用したいものだ。