【二所ノ関親方 夏場所総括】名古屋場所で楽しみな次期大関争い...新興勢力・安青錦の台頭も魅力
2025年5月27日(火)4時30分 スポーツニッポン
「負けて覚える相撲かな」という言葉があります。大の里は課題だった序盤を乗り切って優勝したことは評価できます。13日目に優勝が決まったので残り2日は逆に負けられない重圧もあったはずです。千秋楽は豊昇龍に余裕を持って対応されてしまった。出ていったところを土俵際で投げられるいつもの負けパターンでした。相手の流れに引き込まれ、自分の流れにできませんでした。かなり手ごわいですけど今後も何度も対戦する相手。しっかり対策を練って心身ともに強くならないといけない。この敗戦があったから今があると言えるよう精進してもらいたい。
名古屋場所は久々に東西に横綱が並ぶことになりました。大関は琴桜1人となるので、次期大関争いが過熱しそうです。夏場所は大栄翔、霧島、若隆景の三役3人が2桁をマークしました。12勝で完全復活の若隆景は下からの攻めと強烈なおっつけが健在。大ケガで幕下に落ちたことで得たものも多かったのでしょう。霧島は一時の不振を脱却しつつありますし、大栄翔も常に三役で勝ち越せる力はついています。
しかし、いずれも大関獲りとなるとパンチ不足の印象を拭えません。最近1場所は良くても、それが続かない傾向が目立ちます。名古屋場所でどこまでやれるか。厳しく言うと稽古の仕方などをがらりと変えていく覚悟も必要です。
むしろ新興勢力の台頭に魅力を感じています。安青錦は新入幕から2場所連続で2桁勝利。来場所は最速の新三役昇進の可能性も浮上しています。かたくなまでの低い姿勢。嫌なところに頭があって、手もある。先場所は内無双を決めるなどレスリング仕込みの独特のスタイルも評価が高く要警戒の存在です。上位総当たりの場所でどこまでやれるか見てみたいところです。(元横綱・稀勢の里)