大の里「あの瞬間から身が引き締まった」 個室で2人きり 師匠からの重み感じる言葉

2025年5月24日(土)5時10分 スポーツ報知

師匠二所ノ関親方(左)から稽古を受ける大の里

◆大相撲 ▽夏場所13日目(23日、東京・両国国技館)

 大の里が日本出身では師匠である稀勢の里(現二所ノ関親方)以来、8年ぶりの横綱昇進を確実にした。アマチュア横綱だった大の里が、二所ノ関部屋への入門を決めたのは日体大時代。スピード出世を実現させた師弟の絆に迫った。

 師弟の夢がかなった。師匠・二所ノ関親方は「今場所は先場所で負けている相手に序盤戦から全て勝ち、いい流れで入れた。昨年に比べると安定感が増し、地道に努力してきた成果が出てきた」と成長を認め、「残り2日間も勝って締めてほしい」と全勝優勝を期待した。

 2人の出会いは大の里の日体大時代。アマ横綱など13冠を獲得し、勧誘された多くの部屋を体験入門に回る中、二所ノ関部屋へ。出稽古に来ていた二所ノ関親方の弟弟子、高安(田子ノ浦)に胸を借りた。元大関の力を肌で感じ、同親方に質問すると「1聞いたら5とか10返ってきた」。現役時代に得意とした四つ相撲ではなく、若い時は突き押しを鍛えるべきだと助言されるなど強く心に残った。

 茨城・阿見町にある部屋は、東京・両国国技館から約50キロ離れていたが、自然豊かな環境は猛稽古で土台を築いた中高時代を過ごした新潟・糸魚川市を思い出させた。「周りに何も誘惑がなかった。何かを犠牲にしないと強くなれない。師匠の人柄も素晴らしかった」。高安にも勧められ、21年に創設されたばかりの部屋への入門を決めた。

 師匠の期待も大きく、自身が新入幕時、萩原から改名した際の候補だったしこ名「大の里」を与えた。19年に引退したが、時に白まわしをつけ相撲も取った。現在は幕内で少なくなった左四つで弟子の壁になった。

 昨年9月の大関昇進伝達式前に部屋の個室で2人きりになると、師匠は強い口調で諭した。

 「大関は3場所33勝したらなれるが、横綱は違う。強さだけではない。相撲を追求し、勉強した者だけがなれる。選ばれし者しか、綱を締めることができない」

 初土俵から所要89場所で最高位に立った師匠の言葉は胸に響いた。大の里は「あの瞬間から身が引き締まった」と振り返る。

 優勝回数は師匠の2度を上回る4度。それでも大の里は「言葉の重みを感じる。親方の言うことを聞いて稽古をしていきたい」と信頼を置く。今後も二人三脚で大横綱への道を歩む。

 ◆稀勢の里 寛(きせのさと・ゆたか)現二所ノ関親方。本名・萩原寛。茨城・牛久市出身、38歳。02年春場所で初土俵。18歳3か月で新入幕。11年九州場所後に大関昇進。17年初場所後に第72代横綱に昇進。19年1月に現役を引退し、年寄「荒磯」を襲名。21年8月に田子ノ浦部屋から独立して部屋を創設し、同年12月に年寄「二所ノ関」を襲名。優勝2回。得意は左四つ、寄り、突き、押し。

スポーツ報知

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