ウソだろ?スタンディングオベーション中にピッチクロック違反で1ストライクに全米から疑問の声
2023年4月16日(日)10時30分 ココカラネクスト

(C)Getty Images
これも時短のためには必要なことなのか?メジャーリーグが試合時間短縮のために導入した新ルール「ピッチクロック」が話題だが、ある一つの違反が物議を醸した。日本では鈴木誠也の復帰戦として注目された14日のドジャース—カブス。地元のドジャースファンは、このオフにカブスへ移籍したコディー・ベリンジャー外野手を盛大な拍手で出迎えた。
【動画】米メディアも「システムの重大な欠陥」と指摘!スタンディングオベーション中にピッチクロック違反を取られた実際のシーン
2017年のデビューから6シーズンをドジャーブルーのユニホームで過ごしてきた。1年目に39本塁打、97打点で新人王に輝くと、2019年には打率・305、47本塁打、115打点でナ・リーグMVPを獲得。2020年からは成績を落としたが、その年のワールドシリーズ制覇にも貢献した。2021年は打率・165、10本塁打と低迷し、FAイヤーとなった2022年も打率・210、19本塁打、68打点とかつての姿は取り戻せず。オフにFAとなり、再契約の道は残されていなかったが、それでもファンは快く送り出し、グラウンドでの再会を喜び合う瞬間だった。
2回の第1打席。やまないスタンディングオベーションに感慨深げに打席を外し、静かに準備を整えていたベリンジャー。すると球審が試合を止め、自らの腕時計を指さすジェスチャーから1ストライクを宣告したのだ。
ピッチクロックでは、投手が捕手からボールを受け取ってから、走者なしでは15秒、ありでは20秒以内に投げなければならない。それとは逆に、打者は残り時間が8秒となる前に打席で構えて準備を整えなければならない。盛大な拍手を浴びているうちに制限時間が迫り、タイムオーバーしてしまったというわけだ。
これには米ヤフースポーツも疑問を投げかけた。「コディー・ベリンジャーは2023年に導入されたピッチクロックで最悪の違反を取られた。なぜならドジャースファンたちは、彼にスタンディングオベーションを捧げていたのだ」と報じた。
記事では「MLBの狙い通り、この新ルールは試合時間を短縮することに成功している。一定の成功をおさめているといえるが、この事象はシステムの重大な欠陥と言わざるを得ない」と指摘した。
ベリンジャーは1ストライクの宣告にも表情は変えることなく、結局1打席目はフルカウントからの6球目を打って一塁ゴロに倒れた。この日は4打数1安打1四球1得点でチームの勝利に貢献した。
また記事ではパイレーツのアンドリュー・マカチェンが古巣の本拠地で復帰初戦を迎えた際、盛大なスタンディングオベーションを受けた際には球審はタイムオーバーを見逃し、ピッチクロック違反を取らなかったとも指摘した。「こうした事象が起きた際には、柔軟な運用が求められるのでは?」と提起した。
まだまだ試行錯誤が続きそうな新ルール。メジャーリーグではこうしたシーンは大事なモーメントの一つとして広く周知されている。セレブレーション時には違反を見逃すなどの粋な計らいは、時短に勝るファンへのエンターテインメント提供となり得そうだが、どうなるだろうか。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]