なぜフェルスタッペンと違って苦戦? 角田裕毅に生じる“差”を元レッドブル名手が指摘「正直混乱しているように見える」
2025年5月22日(木)17時0分 ココカラネクスト

フェルスタッペンと切磋琢磨しながら、ベストな結果を模索し続ける角田。(C)Getty Images
「このレベルでは小さな差がトラック上での大きな違いに直結する」
姉妹チームからの電撃昇格から5戦。レッドブルのセカンドドライバーとして奮闘を続ける角田裕毅への評価はさまざまだ。
現地時間5月18日に決勝が行われたF1第7戦のエミリアロマーニャGPでは予選で、マシンが大破するクラッシュを起こしてしまった角田だったが、最後尾となる20番手扱いのピットスタートとなった最終日に挽回。見事なごぼう抜きで10位に入って1ポイントを獲得。必要最低限の結果を残した。
【動画】壁にぶつかってマシンは一回転 衝撃を生んだ角田裕毅のクラッシュシーン
これでレッドブル昇格から5戦で3ポイントを獲得した角田。エースドライバーのマックス・フェルスタッペンをサポートする意味でもチームに確かな貢献を果たしていると言えよう。
しかし、本人が「マシンで改善しなければならない」と明言するように、操作困難とされるマシン「RB21」にアジャストするのに苦心する様子も見られる。ゆえに外野からは依然として25歳の日本人ドライバーに対して厳しい意見も飛んでいる。
そうした中で「レッドブルのクルマはもちろん速い。だがその動作ウインドウが非常に狭いように見える」と語ったのは、元レッドブルのドライバーで、2020年にアルファタウリで角田にシートを譲った経歴もあるダニール・クビアト氏だ。
2010年代にF1界でキャリアを重ねたロシア人ドライバーは、F1公式サイトにおいて「なぜフェルスタッペンの同僚(セカンドドライバー)は、マシンコントロールに苦労するのか」と問われ、「そもそもF1マシンには多くの細かい要素が絡んでくる」と言及。「タイヤの温度、タイヤの作動範囲、セットアップ、空力特性など、非常に複雑な要素が絡み合っているんだ。パズルのピースが一つでも欠ければ、結果は悲惨なものになりかねない」と指摘し、RB21がフェルスタッペンに特化したマシンであり、それに合わせるのは容易ではないという見解を示した。
「このレベルでは小さな差がトラック上での大きな違いに直結する。たとえどれほど優れたドライバーであっても、マシンとタイヤをそのウインドウ内に収めなければ、0.5秒は足りなくなってしまう。
ただ、これは普通のことなんだ。私自身もF1デビュー当初は、その状況への対処法を学ばなければならなかった。とても興味深いプロセスだが、そこに迷い込んでしまうと、チャンスを台無しにしてしまう可能性が一気に大きくなる」
角田に求められる“早急なアジャスト”
マシンとの相性とRB21のセットアップに苦言を呈したクビアト氏。さらに「近年のRB(2016年のRB12以降)シリーズを運転したことがないから、正確なところまでは言い切れない」と前置きしつつ、今季開幕2戦目後にリアム・ローソン(現レーシングブルズ)とのシート交代で上がってきた角田の現状についても持論を展開している。
「あれは厳しい状況だったんだと思う。彼らはチームだから、自分たちにとって何が最善の判断になるかは分かっているはずだ。もちろん、チームの一方(フェルスタッペン)は完璧に見えるし、本当にうまく機能しているように思える。ただ、もう一方は少し……ね。正直に言って、かなり混乱しているように見えるよ」
赤裸々に自身の古巣への考えを口にしたクビアト氏は、こうも続けている。
「僕は今ではチームの一員ではないし、詳細までは分からないよ。確かなことは言えないけれど、レッドブルのマシンはうまく機能させれば速いマシンになるということは間違いない。ただ、彼らがなぜそれを実現できないのかは別の問題だと思う」
波乱に満ちたエミリアロマーニャGPでは、絶対的エースのフェルスタッペンが優勝。改めてRB21の高い戦闘力が示されただけに、生き残りが懸かる角田としては、クビアト氏が指摘する「混乱」を潜り抜け、早急なアジャストが求められそうだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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