【大の里の相撲道(中)】「相撲は重い人が強い」大の里を太く強くした“稀勢理論”と筋トレを黙々とこなす素直さ
2025年5月28日(水)6時0分 スポーツ報知
アマチュア横綱を獲得した日体大時代の大の里
大関・大の里(24)=二所ノ関=の初土俵から最速となる所要13場所での横綱昇進が決定した。スポーツ報知では3回連載「第75代横綱 大の里の相撲道」で素顔、強さの秘訣(ひけつ)、課題などについて迫る。今回は第2回。
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大の里は夏場所前の4月30日の計測で、体重が191キロに達した。入門時の177キロから14キロ増。早大大学院でスポーツマネジメントを学んだ二所ノ関親方(元横綱・稀勢の里)の「自分のベスト体重を語る人がいるが、誰が決めたのか」という考えもあり、「相撲は重い人が強い。変な太り方でなければ重くなってもいい」と信念を持つようになった。
本格的に体に向き合ったのは、日体大時代。コロナ禍で大学施設が使えなくなったことで、プロボディービルダーが指導する「ヒーロージム」に通い始めた。合宿所から電車で通う片道30分の定期券代も惜しまなかった。指導したプロボディービルダーのSHIN KODAMA氏(45)は「足に体脂肪がほとんどついてないふくらはぎにしびれ上がった。米国のトップボディービルダーのよう」と振り返り、「見せる筋肉ではなく動かせる筋肉(インナーマッスル)を鍛えるように伝えた」。
取り組んだのは低負荷の体重を使った「自重トレーニング」。さらに「ジムに来る人が一番嫌がる」という器具を使わない腕立て、腹筋、背筋、スクワットを黙々とこなした。「(提案に)言い返してくることはなかった。素直だった」という。大の里は「あのときやったことが今生きている」と感謝し、現在もジムに通わず部屋で四股、すり足、てっぽうを中心とした器具を使わない基本トレーニングを黙々と繰り返す。
日体大の同期だった寺尾拓真さん(24)は「まず野菜を食べる。体が資本というアスリート的思考だった」と消化に良い食べ方を実践していたことを証言する。聞く耳を持ち、鍛錬を積み重ねた結果、スピードを落とさず、体を大きくすることに成功。最高位にかけあがった。一方で、同親方は「まだまだ進化の途中。これで終わりじゃない」と話すように、横綱は重責を担う。最終回は課題に迫る。(特別取材班)