IMSA:マツダ、体制変更後の初陣『デイトナ240』でワン・ツー達成「再スタートは簡単ではなかった」
2020年7月7日(火)7時30分 AUTOSPORT web
北米のスポーツカーシリーズ、IMSAウェザーテック・スポーツカー選手権に参戦しているマツダモータースポーツは7月4日、アメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された第2戦『ウェザーテック240・アト・デイトナ』に臨み、ジョナサン・ボマリート/ハリー・ティンクネル組55号車マツダRT24ーPと、オリバー・ジャービス/トリスタン・ネネス組77号車マツダRT24ーPの2台でワン・ツー・フィニッシュを達成した。
2020年シーズンもIMSAのDPi(デイトナプロト・インターナショナル)クラスで、2台のDPiマシン『マツダRT24ーP』を走らせているマツダ。チームは1月末に行われた開幕戦デイトナ24時間レース後に体制変更を実施し、新型コロナウイルスの影響をうけて中断されていたシーズンが再開される今レースからマルチマチックが車両開発およびチームオペレーションを担当することになった。
新生マツダの初陣となったこのレースは、シーズンカレンダーの変更によって新たに設定されたもの。舞台は開幕戦と同じデイトナながら、レース時間はシリーズのもっともポピュラーなフォーマットである2時間40分で争われる。
■開幕戦でも見せたスピードをいかんなく発揮
週末最初のプラクティスは金曜日に行われ、マツダは55号車がライバルの『アキュラARX-05』『キャデラックDPi-V.R.』に次ぐ3番手タイムを記録。一方、77号車は燃料系トラブルが発生し走行が叶わなかった。
このトラブルでチームは緊張感に包まれたものの、77号車は翌日のプラクティスで無事に走行を果たすと同セッションのトップタイムを記録してみせる。土曜午後の予選では、その77号車がフロントロウ2番手を獲得。僚友55号車もその後ろとなる3番手につけた。
決勝レースはアメリカ独立記念日の7月4日、18時10分に開始されるはずだったが、直前のスコールの影響で約40分遅れでのスタートに。予選2、3番手からレースに臨んだマツダ勢は、他の上位陣と同じくウエットタイヤを選択。しかし、路面はすぐに乾き2台はスリックタイヤへ変更するため、スタートからわずか15分ほどでピットに戻る。この間にスリックタイヤでスタートしたキャデラック勢の後塵を拝することになった。
だが、マツダRT24ーPはドライ路面で抜群の速さをみせ、一時は40秒以上あったトップとの差をみるみるうちに縮めると、レース中盤には55号車がトップに躍り出る。さらに77号車もライバルのキャデラックとアキュラを次々に交わして2番手に浮上する。
マツダモータースポーツの2台はレース終盤にかけても快走を続け、21時20分すぎに55号車がトップチェッカー。その約10秒後に77号車が2位でフィニッシュラインをくぐり体制変更後初めてのレースで見事、ワン・ツー・フィニッシュを決めた。
■積み重ねたドライバー交代練習も勝因のひとつ?
今季初優勝を飾った55号車のティンクネルは「長いCOVID-19の防疫期間と再開に向けたレギュレーションを考えると、このレースはまさにタフな作業だった」と久々のレースを振り返った。
「今回、ドライバーを含めてチームクルーは15名に制限され、ピットイン時のヘルパーは完全に不足することが予測されていた。僕たちはピットインでタイムロスをしないように何度もピットワークのトレーニングを繰り返してきたんだ」
「ドライバー交代も、僕のベルトはJB(ボマリート)が締め、ピットイン時には自分でバックルを外す練習をしてきた。そのおかげで、レース中は正確な動きで無駄のないピットワークができたよ」
■77号車のトラブルは異物混入
マツダUSAモータースポーツ担当ダイレクターのネルソン・コスグローブは「この数カ月、レーストラックから離れワークショップに隔離されていたので、チームにとってこの再スタートは決して簡単なものではなかった」とコメント。
「しかし、チームオペレーションを完全にマルチマチック社に変更することになっていたため、この長い月日は充分な検証期間となった。マシンは完璧な状態に準備され、レースウイークを通じて何も問題はなかった」
なお、金曜のプラクティスで走行できなかった77号車については「燃料系に異物が混入した」ことがトラブルの原因と判明し、「原因となるものを除去した後は完全にリカバリーした」という。
レース後、「55号車のジョナサンは、良いスタートをみせ、ハリーはこのコンビに3度目の優勝を運んでくれた」と語った彼は、「77号車のオリー(ジャービス)とトリスタンは、混雑するトラフィックを見事に潜り抜け、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。チームクルーたちの仕事も完璧だった」と続けている。