【玉ノ井親方 視点】大の里は全勝Vもある 琴桜は勝ち越したことで精神的に思い切り当たれる
2025年5月22日(木)19時50分 スポーツニッポン
◇大相撲夏場所12日目(2025年5月22日 東京・両国国技館)
優勝そして綱獲りに王手をかけた大の里だが、ここ何番か引き技で勝っているのが気になる。伯桜鵬戦も立ち合いで当たってから、すぐにはたき込んだ。長い15日間を全力で戦い抜くには、体力をキープし続けることも大事。“省エネ”相撲で勝ちきることも時には必要だろう。
ただ、そうは言っても安易に引き技に頼ってしまうと、逆に相手を呼び込むような形になって墓穴を掘る。だが大関のはたきは、立ち合いでしっかりと当たっていたから、効果があった。余裕が感じられるはたきだった。
ここまで来たら、あす13日目の琴桜戦で一気に優勝を決めたいところだろう。
一方の琴桜にすれば、今後のこともあるので、そうやすやすと勝たせるわけにはいかない。この日、勝ち越したことで精神的にも思い切って取ることができる。ただ、気を付けたいのは長い相撲になって、腰高にならないようにすることだ。一山本戦もどっしり構えて、もろ差しになってから前に出ていった。慎重に取ろうとするのは分かるが、相撲が長くなると、次第に腰の位置が高くなって相手から攻め込まれやすくなる。
大の里のように前に出るスピードが速い力士と対峙(たいじ)する時は、自分も同じように立ち合いで厳しく当たって、間髪を入れずに攻めていく必要がある。
当たってすぐに差すなり、振って出るような相撲を取れば、相手も簡単に自分のペースに持ち込めなくなる。そうした厳しい攻めをもっと見せてほしい。今場所は横綱も安定感を欠いているだけに、明日の相撲内容次第では大の里の全勝Vの可能性も出てくる。(元大関・栃東)